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「ガイドライン」発刊や調査、提言活動などで成果 全国アスベスト適正処理協議会会長 炭谷 茂

全国アスベスト適正処理協議会は、16年間の事業を実施してきましたが、この度解散することになりました。

協議会は、当時三協興産会長だった花澤義和さん等が日本のアスベスト処理の現状を憂い、対策の強化を図らねばならないという熱い思いから設立されました。花澤さんは、長い間NPOエコリンク理事長としても環境保全活動を積極的に推進されていましたので、日ごろから親しくご指導をいただいていました。その花澤さんから協議会の設立の話を伺い、全面的な賛意を示しました。

「ガイドライン」発刊や調査、提言活動などで成果 全国アスベスト適正処理協議会会長 炭谷 茂_全国アスベスト適正処理協議会会長 炭谷茂
全国アスベスト適正処理協議会会長 炭谷茂

私は、2006年9月に環境事務次官を最後に退官していましたが、在職中はアスベストによる深刻な健康被害が全国各地で発生し、被害者に対して補償する法律制定や予防対策の推進にかかわりました。このため退職後もアスベスト対策には強い関心を持っていましたので、会長の役目も引き受けさせていただきました。

協議会の発足は、07年6月22日、全国都道府県会館でアスベストの調査・分析・測定、除去・収集・処理、コンサルティング等の事業を行う企業、地方自治体、学識経験者等の166名の参加を得て盛大に開催されました。協議会に対する関心の高さを感じました。

協議会では09年に「アスベスト適正処理に係るガイドライン」を作成、発刊いたしましたが、この分野では類書が少なかったため、関係者の必読書となりました。

また、アスベストに係る資産除去債務の会計計上が義務付けられましたが、当時知見が乏しく関係者は困惑されました。そこで環境新聞社とともにアスベストに係る資産除去債務処理の状況等を実態調査し、結果を公表しました。関係者にとって大変参考になりました。

この間東日本大地震、熊本地震、西日本豪雨災害が発生し、アスベスト被害が問題になりました。そこで専門家の会員を現地に派遣・調査し、問題の状況や適正処理について提言を行いました。

このように成果をたくさん上げることができましたのは、会員各位の積極的なご協力の賜物であります。心から感謝申し上げます。

協議会は、解散いたしますが、会員間の強いつながりはこれからも大切にしていきたいと思います。

最後に協議会の旗揚げの原動力になった花澤義和さんは、16年に逝去されましたが、泉下できっと満足されていることでしょう。ご冥福を表したいと思います。