心理学×環境~臨床の現場より~(41) 公認心理師、臨床心理士 松尾祥子 死に逝く人から学ぶこと
20代の頃、がん治療中の患者様と触れ合う機会がありました。都会で友人たちと賑やかに過ごす日常のなか、月に二度ほど郊外の病院を有償ボランティアとして訪ねました。患者様にとって、旧知の見舞客や医療従事者ではない者が訪れることは、病院で失われがちな「社会的つながり」をもたらし、また、熱心に話に耳を傾ける存在は、ご自身の人生を振り返る好機になっていたように思います。私にとっては、笑顔で惜しみなくおしゃべりを交わしていた方が、次の訪問時にはすでに他界され、二度と会えないという現実に、人は誰もが最期の瞬間を迎えること、その時はいつ来てもおかしくないことを知る機会になりました。そして、死を意識して生きることが、人生の質を高めることにつながるのだと知りました。
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