東風西風 とうふうせいふう
このところ日本列島を暖気が覆っている。4月中旬並みの気温の地域もあり、2月としては記録的な高温だ。この時期の気温上昇で気になるのがスギ花粉。花粉症持ちにとっは憂うつな季節の始まりとなる▼花粉症といえば、政府は昨年から対策に本腰を入れ始めた。4月に関係閣僚会議を開き、10月には花粉症対策の「初期集中対応パッケージ」をまとめた。対策の柱は、①発生源対策②飛散対策③発症・曝露対策の3本。この2月には進捗状況の確認も行った▼中でも注視したいのが、スギ人工林を減らす発生源対策。今年度中に伐採や植え替えなどを重点的に進める地域を設定し、人工林を10年後に2割減少させ、約30年後には花粉発生量の半減を目指す。人工林伐採に伴う対策として、木材を利用しやすくする改正建築基準法の施行や国産材を活用した住宅ラベルの創設など、スギ材の需要拡大にも手を打った。花粉の少ない苗木の生産拡大にも注力し、生産割合を現行の5割から10年後には9割以上に引き上げる▼政府の対策は、長年多くの国民を悩ませ続ける花粉症問題の解決のみならず、林業の活性化や国産材の利用促進にもつながる。レガシー(政治遺産)になるような派手な政策ではないが、実を結べば喜ぶ人はたくさんいるはず(宜)