東風西風(2025年9月10日)
石破茂首相が退陣を表明した。発足時から低迷し続けた内閣支持率や与党大敗の参院選を考慮すると「さもありなん」だが、なぜ今なのか、と疑問も残る。月初めに発表された報道各社の世論調査結果で、やっと「支持率上向き」を示したばかりだというのに▼最も足場の悪い時にバトンを受け、逆風にじっと耐えて前を向き、続投を貫いていた首相に対し、民意は「今しばらく様子見」ではなかったのか。人民の人民による人民のための政治とは乖離を感じる。もっとも、名言を生んだ国もまた民意を都合よく解釈する勝手政治で批判を浴びているようだが▼さておき先週末、市民学会「水の環フォーラム」を取材した。気候変動を踏まえ、水環境の健全化に向けてできることを考え、さまざまな活動している市民・団体が、それぞれの取り組みを共有し、新たな連携につなげようと一堂に▼国交省や環境省、自治体なども後援するが、主体はあくまでも市民。来賓あいさつや仰々しい祝辞等は一切なく、いきなりポスター発表が行われ、対面で活発な意見交換が始まった。雨水活用、グリーンインフラ、緑化、里山再生、ブル―カーボンなど、市民の真摯な活動やアイデアであふれる場内。政治にはない爽やかな空気と希望を感じた。(孝)