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東風西風とうふうせいふう

奈良の寺で殺生を戒める「放生会」が営まれ、法要とともに地元の小学生が約500匹の「モツゴ」を放流したとテレビが伝えた。以前は金魚なども放流していたが、生態系への影響の懸念から池の在来種だけにしたという。なぜ金魚だといけないのか▼地球40億年の歴史の中で、さまざまな環境に適応し進化してきた多様な生きもの3千万種。一つひとつが命と個性を持ち、支えあって「生態系・種・遺伝子」の多様性を保ってきたが、近年そのバランスが大きく崩れ、多くの生物が減少・絶滅の危機に。原因は全て人間にある▼開発による自然破壊や乱獲、温暖化など地球環境の変化、外来種など持ち込みによる生態系の乱れ等々。顕著な例が、レジャー目的で各所に放流されたブラックバスだ。在来種を餌にする肉食のため生態系を破壊する悪者とされ、リリースは厳禁▼琵琶湖周辺には60カ所以上の外来種回収ボックスがあり、湖の生態系を守る大きな役割を担う。冒頭の放生会とは真逆の行為だがやむを得ない。納得しつつも、外来種とて命ある身と思うとやはり切ない▼今できることは、自然や生きものに触れ、理解して過ちを重ねないことだろう。行動制限のない黄金週間、野山や海に出かけ、生物多様性に親しみたい。(孝)