東風西風(2025年7月16日)
福島市は家庭用ごみの集積所に事業系一般廃棄物が排出される不法投棄にあたる行為が多発しているため、3月1日からごみ袋の開封調査を開始している。開封調査後に特定された事業者に改善を促すなど、段階を踏んで指導を行っているが、改善勧告に従わない場合は事業所名や違反内容等を一定期間、市のホームページに公表するという▼一方、埼玉県川口市は1月3日に発生したリチウムイオン電池の発火が原因とされるピット内での火災事故の現場をマスコミに公表し、市民に適正排出を呼びかけた。廃棄物処理業者に聞くと、リチウムイオン電池の発火が原因とされる火災は発火後すぐに消火し、大事に至らなかった事案を含めれば毎日のように発生しているようだ。環境省がまとめたデータによれば、2023年度に発生した8543件の火災事故等のうち84件が消防隊による消火活動を伴う重大な火災事故になっている▼福島市の不法投棄も、リチウムイオン電池による火災事故のいずれも排出者がごみ処理を軽視しているために起こっている。しかし、リチウムイオン電池の火災事故は、軽率な行為の割に損害が大きく、川口市は長期に施設を停止し、損害額は施設修繕とごみ処理委託で67億円と推計している。(平)