東風西風(2025年12月17日)

2025年も残すところ後わずかとなった。今年の干支「へび」は、にょろりと動いてとらわれない。手足はないのに牙を持つ。時に猛毒を放てば、眼力のひと睨みで小動物を凍て付かせ丸呑みにするとか。へびは白ければ縁起が良いとされ愛好家も多いが、原罪をもたらす悪魔の化身と悪口も言われる。身近にへびほどよく分からない生き物はいない。各位と1年を過ごされたにょろにょろは、やはり、不思議をまとっているのではないか▼何をおいても物価高。昨年に続き米騒動が猖獗しどこか懐かしい「おこめ券」が令和の人口に膾炙した。1月、韓国の非常戒厳令の異様な熱も冷めやらぬまま米国から再びのトランプ禍が猛威を振るった。「掘って掘って掘りまくれ」。トランプ・ディール一色の春。暑い夏は、それなのにだからか、気候変動への警鐘が幾分鳴りを潜めてしまったかに思える。秋はクマ、またクマ。石破政権の蹉跌と意地、続く高市政権へ。初の女性首相に向けられた華々しい期待は併せ呑んだ暗部を漂白できるか。12月、列島の宿命、巨大地震が絶えざる威力をのぞかせた▼善悪の両面を自在に行き来するへび。ミステリアスな魅力だが、来年はうま年。うまは明快。草原を突っ走る。そんな晴れやかな1年になりますように。(潤)