カーボンゼロへの挑戦(102) GX戦略地域の公募開始、今夏に選定へ コンビナート再生・DC集積・GX産業団地本格始動

経済産業省は12月23日から、「GX戦略地域制度」に基づいて地域選定のための公募を開始した。対象となるのは、①コンビナート等再生型②データセンター(DC)集積型③脱炭素電源活用型(GX産業団地)――の3類型。公募期間は2月13日まで。このほか、脱炭素電源を活用して当該電源の立地地域に貢献する事業者の設備投資を支援する脱炭素電源地域貢献型(④)もあるが、これは別途公募を行う。

有望地域は春にも選定

政府は25年2月に閣議決定したGX2040ビジョンを踏まえて、コンビナート跡地等や地域に各地に偏在する脱炭素電源等を核に産業クラスターの創出を目指す「GX戦略地域制度」を8月に創設。その後、自治体と事業者からの提案募集結果も踏まえ、選定要件や支援策等の具体化を進めてきた。政府は12月22日に「GX戦略地域制度を通じたGX産業クラスターの創出」と題した中間取りまとめを公表。この取りまとめを受けて、上記3類型の公募を開始した。

選定結果公表はいずれも、有望地域(1次審査)が26年春頃、GX戦略地域(最終審査)が同じく夏頃としている。

コンビナート再生、DC集積地、産業団地形成へ

今回公募を開始した上記3類型のうち、①のコンビナート再生型は、地域のブラウンフィールド(コンビナート跡地・空きスペース)を有効活用して新たな産業クラスターの形成を目指す。川崎・千葉や四日市、和歌山、大阪、水島、宇部、北九州など全国各地の臨海部等のコンビナート・工場跡地等が対象となる。

②のDC集積型(ギガワット級)は、電力・通信インフラ整備の効率性を踏まえたDC集積と、再生可能エネルギーや原子力発電など脱炭素電源の活用を核とした産業クラスターの形成を目指す。具体例として、ブラジルで建設が進む世界最大級のDC集積地「リオAIシティ」などを挙げる。

③のGX産業団地は、再エネ・原発等脱炭素電源を100%活用した団地を整備し、当該電源を核とした産業クラスターを形成するもの。佐賀県鳥栖市で整備が進む産業団地・サザン鳥栖クロスパークなどを具体例として示す。

公募に当たっては候補エリア、インフラ整備、競争力強化、脱炭素、地域連携などの構想・計画、具体的な取り組み、首長のコミットメントなどを求める。①と②には国への規制・制度改革の提案も求め、国家戦略特区制度に反映させる方針だ。申請者は都道府県または市区町村が対象。コンソーシアム等の形で民間事業者などが加わることも認める。

GX産業立地へ各種支援措置

支援措置もそれぞれ異なる。①のコンビナート再生型は、事業化促進、国内外からの投資呼び込み、ディープテックスタートからはじめ電力系統の整備等の支援などを行う。その後共用インフラ整備、既存設備の転換、設備撤去、需要創出などの支援も行う方針。

②のDC集積型は電力系統整備や脱炭素電源を活用したDC整備、脱炭素電源等の整備、工業用水確保も含めた団地整備、通信インフラ整備の支援を行う。AI開発・利活用の支援も行う予定。③の産業団地は、事業環境整備および企業誘致、団地整備、脱炭素電源等の整備について支援を行う。

経産省は26年度予算案に430億円新規計上

昨年末に決定された26年度政府予算案では、経産省が(ア)GX戦略地域制度におけるコンビナート等再生に向けた事業化促進事業:30億円(イ)脱炭素電源地域貢献型投資促進事業:400億円(26~30年度に2100億円)をそれぞれ新規計上した。(ア)は、有望地域において選定された事業を行う事業者に対してインフラ転換や共用ユーティリティの拡張・延伸、共用施設のリノベーションに係る基本・詳細設計の支援等に充てる。(イ)は企業が個別に脱炭素電力を活用した事業活動を行う場合の設備投資などへの支援を行う。

さらに環境省は「GX戦略地域制度における産業団地等の脱炭素化推進事業」(経産省との連携事業)5億円、総務省は「データセンター、海底ケーブルの整備事業」(ワット・ビット連携)400億円(補正含む)を計上した。

昨年8~10月に実施した提案募集では、計199件の提案があった。有望地域とGX戦略地域がどのように評価され、どこが選定されるのか。個別プロジェクトとして何が計画され、産業再生と地域活性化、脱炭素をどのように具体化していくのか、注目される。

 環境ジャーナリスト 北沢一樹