東風西風(2025年12月3日)
不法投棄などの事件などで見聞きする廃棄物は「産業廃棄物」ばかり。そのため知り合いとの会話の中に「廃棄物」という言葉を使うと、「廃棄物」=「産業廃棄物」と誤解されていることが多い。たまに話の腰を折らない程度に訂正するが、その際ついでに、生活で出てくるごみは「一般廃棄物」であると説明するものの、それらは「ごみ」という認識が持たれている▼年間約2100万トンもの廃棄物をセメントの生成に使用している太平洋セメントが12月1日から女優で歌手の上白石萌音さんを起用しCMの掲出を始めた。先日の会見で上白石さんは、セメント製造に廃棄物が使われていることに驚きを示すなかで、「産業廃棄物」や「ごみ」という言葉は使わず、「廃棄物」という言葉を使った▼同社はセメント製造に産業廃棄物と埼玉県日高市などからの一般廃棄物を使用しているため、「産業廃棄物」と表記したら誤りだし、「ごみ」と表記したら誤りではないものの、一般の人には生活で出てきた「ごみ」と捉えられてしまうことになり、結果的に誤りだ▼循環経済を回すには市民の協力も必要。有名人から「廃棄物」という言葉が的確に発せられることで、市民が正しく廃棄物を認識することを期待する。(平)