東風西風 とうふうせいふう

ドバイで開催中のCOP28で岸田首相は、「排出削減対策の講じられていない石炭火力発電所は建設しない」、議長国が掲げる「30年までに再エネを世界全体で3倍に」の目標に賛同することなどを表明した▼だが、これに対する国民の評価や賛同意見はほとんど聞こえてこない。GX推進法も地球温暖化対策推進法も、「自分ごと」にはほど遠い。ゼロカーボンシティを宣言する自治体は千に迫るが、自分の住む町が、宣言しているか否かを知らない人も少なくないようだ▼気候変動を肌で感じ、憂う気持ちはあっても、「自分に一体何ができようか」で終わってしまっている市井人。それを対象に「脱炭素行動に対する意識付け」を促すツールが増えてきている▼例えば、地図アプリ。現在地と行き先を入力すると、即座にさまざまなルートが提示され、時間や運賃、乗り換え回数などと並んで「CO2排出量」もピシッと出る。タクシー配車アプリは、料金と同時にCO2排出・削減量が。電動キックボードのシェアリングサービスでも削減量の表示が始まっている▼そして社食・給食サービスの大手は、来年にもメニューごとの温暖化ガス排出量の表示を始めるという。栄養素やカロリーと同様に排出量を考慮とは。いよいよ身近になるか、脱炭素。(孝)