東風西風 とうふうせいふう

この欄でごみを餌にするカブトムシを使った廃棄物処理について触れたことがある。脱焼却の廃棄物処理として本格的な実用化が期待されるが、1日当たりの廃棄物量を勘案して1トン当たり何匹必要か、また、成長したカブトムシは観賞用か粉にして養殖魚の餌になるが、この方法で長期安定的にごみ処理事業が回っていくかが課題だ▼一方、プラスチックを餌にする微生物や虫がいる。日本では2016年に堺市のごみ集積場の試料から、ペットボトルやポリエステル繊維などに使われているPETを食べる微生物が発見されたし、カナダのブランドン大学研究チームが発見した「ワックスワーム」と呼ばれる幼虫は、レジ袋などに使われるプラスチックの一種、「ポリエチレン」を唯一の栄養源としている。さらに、スイス連邦工科大学が発見した寒冷地適応の細菌と真菌は、低温域から平均温度域でほとんどのプラスチックを消化するとされており、既存のプラスチックを餌にする微生物が、高い温度環境を必要とする傾向があることから、画期的な発見と言われている▼これらの処理法が世界で実用化されるには植物防疫法などの輸入規制が壁になるかもしれない。廃棄物処理、プラ処理とも新技術の実用化までには時間がかかる。(平)