東風西風 とうふうせいふう

列島を政治の嵐が吹き荒れている。新たな日本のリーダーを選ぶ自民党総裁選が12日に告示された。その後の国政選挙を十数年ぶりの政権奪回へつなげたい在野の第1党・立憲民主党は代表選の渦中。11月、海の向こう超大国のスーパーハリケーン、アメリカ大統領選が環境対策や経済政策を巻いてこの国に高波を送り込む。上昇する海水温が暴れる風雨を街に届けるように、環境とエネルギー、経済、安全保障、人権、国際紛争の対応など数多の論点が熱と圧を加え実りの秋をいつになく騒がしくさせそうだ▼粘り強い政権運営で党内外と対峙した岸田文雄首相が派閥の裏金問題に起因する突き上げをさばききれず失意の出馬撤回。新たな総裁に後事を託す。告示前は派閥の論理で有力候補は絞られると見られていたがキングメーカーの一角・前首相が最若年の候補を衆人環視で推したことで混沌の度を事態は増した。与党時代に脱原発を進め再稼働容認や段階的廃炉との間で揺れ動く立民は長い雌伏の時を経て再び政権に期待が掛かる。過去の政策をどう清算する。不遇の時代、気を吐いた現代表は練達の首相経験者らを前にどう食い下がる。今年の台風はそれるに任せる。嵐の季節、目になる人を人が選ぶ。誰が果実を手中にするか。(潤)