東風西風(2025年9月24日)
北海道釧路市の釧路湿原周辺で大規模太陽光発電の建設が相次ぎ、周辺の自然環境や希少生物を脅かすと問題になっている。一部では森林法の許可を得ずに伐採が行われたり、希少生物が確認される区域で調査や説明が不十分なまま工事が進んだりするなど、再生可能エネルギーの「影」の部分が浮き彫りになった格好だ▼こうしたなか釧路市で17日、太陽光発電施設の設置を規制する条例が成立した。出力10キロワット以上の施設を設置するには市長の許可が必要となる。タンチョウなど希少生物が生息する地域を「特別保全区域」と位置付け、事業者に生息調査や保全対策を事前に求める措置なども盛り込んだ▼しかし条例だけでは限界があるとし、同市の鶴間秀典市長は19日に浅尾慶一郎環境相と面会、市町村ごとに規制区域を設置できるようにするなどの法整備を求めた。面会前の閣議後記者会見で浅尾氏は、太陽光発電と地域の共生や規制の強化を検討する関係省庁による連絡会議を設置し、24日に初会合を開くと発表している▼太陽光発電の設置規制に特化した条例は300以上を数えており、多くの自治体が再エネ普及と自然保護の両立に苦心している。再エネ普及の速度を緩めずに地域との共生を可能にする制度づくりを期待したい。(宜)