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東風西風(2025年8月20日)

気候ネットワークはこのほど、『世界の気候訴訟:危険な気候変動から護られる権利の確立へ』と題するブックレットを発行した。この約10年間に見られた世界の特筆すべき動きなどを紹介したものだ▼そのリリース文によると、気候訴訟は当初、米国や欧州が中心だったが、中南米や豪州、インド、東アジアにも広がり、日本でも「若者気候訴訟」など新たな動きが生まれている▼国や大量排出企業の排出削減が法的義務であることを確認するために若者が声を上げ、こうした声を受け止めた裁判官たちが各国で既存の法律を活用し、現代の危機に即した解釈・運用の工夫で新たな地平を拓いているという▼そのなかには、国の削減目標の引き上げや対策の強化に加え、企業を被告とした計画の具体化や実施などを求める訴訟でも、注目すべき動きがあるとしている▼ブックレットの内容は13章建てで、国際司法裁判所が7月23日に出した国の責任等に関する画期的な「勧告的意見」は掲載が間に合わなったようだが、こうした重要な判断なども今後追加していく考えだ。トランプ米政権は気候変動対策を攻撃しているが、企業の経営者や法務担当者はこうした世界の気候訴訟の動向に注意を払っておくべきだろう。(工)