東風西風 とうふうせいふう

日本3大祭りの一つとされる大阪天満宮の夏祭り「天神祭」は明日25日が本宮。数々の祭事の中でも一番の見どころは市内中心部を流れる大川を、神霊を乗せた船をはじめ供奉船や奉拝船ほか100隻以上もの船が行き交う船渡御だ。各船の提灯の明かりが水面にも揺らめき、奉納花火も揚がる▼船がすれ違う際には「うーちましょ」の掛け声で始まる「大阪締め」が交わされる。川からはもちろんだが、この祭りは岸や橋の上から参加するだけでも十分に楽しい。人々の暮らしに最も身近な水辺である川には人と人をつなぐ力がある▼今日から始まるパリ五輪の開会式の舞台も川。各国の選手たちは入場行進の代わりに、映画や歌、絵画などで世界的に知られる「セーヌ川」に船で乗り込み、パレードする。無料で参加できるエリアが解放され、誰もが楽しめる開会式とはどんなものか。ワクワクする▼セーヌ川はトライアスロンなどの会場にもなる。市長が水質改善をアピールして泳いでみせたが、映像で見る限りは濁って見えた。古くから下水道が発達した街ゆえに「合流式」特有の悩みがあり、大雨が降ると水質的にアウトになる可能性が高いという。とても他人事とは思えぬ。てるてる坊主を吊るして応援したい。(孝)