東風西風とうふうせいふう

束の間だが、連日の猛暑から解放されそうだ。1日に札幌で開幕した下水道展を取材する。東京以北では初の開催となる同展。下水道関連の技術や機器、サービスが一堂に会する。見どころの一つが「下水道×農業」のコラボ企画だ。下水汚泥の肥料利用を促進するうえで欠かせない、農業者との連携を深める格好の機会といえる▼農業者にとって、汚泥肥料は使いがってがいいものではない。肥料の3要素のうちのカリウムが足りないからだ。しかも肥料取締法で他の化学肥料との混合が認められてこなかった。だが農水省は、他の肥料原料との混合を認める新たな規格の設定を決めた。汚泥肥料の需要拡大につながる動きだ▼下水道側でも動きがあった。国交省は3月、地方公共団体に対し、下水汚泥の処理について肥料利用を最優先、最大限にする基本方針を通知。焼却処理や燃料化を行う場合も、炭化汚泥の肥料利用やリン回収などを検討するよう求めている▼下水道と農業に関わる国、自治体、事業者の連携による、肥料利用の拡大に向けた下地が整いつつある。下水汚泥は肥料の国産化と安定供給に貢献し、食料安全保障の強化、資源循環社会づくりにつながる。国にはハードとソフトの両面から、さらなる支援の拡充を求めたい。(宜)