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東風西風(2025年5月14日)

米国出身のロバート・フランシス・プレボスト枢機卿が7日、先代の死去に伴う秘密選挙(コンクラーベ)で第267代教皇に選ばれた。教皇名をレオ14世と名乗る。これまで気候危機など環境問題にも関心を寄せ、平和と秩序、寛容を重んじてきた氏。声弱き人々に寄り添い対話に身を置く人柄という。選出後には各国で上がる戦火に目を向け「戦争を決して繰り返してはならない」と叫んだ。第2次大戦から80年、先代教皇が「部分的な第3次大戦」と悲嘆したあるがままの世界情勢を憂えた▼世界13億人を超すカトリック信者の「牧者」として巨大な影響力で導く。元来、米国出身者を遠ざけると言われる教皇選だが、自身市民権を持つ南米ペルーでの長期の布教など、祖国を超えた活躍に期待が掛かる。トランプ、バイデンの新旧米大統領は氏の就任を揃って祝福。「平和、社会正義、人間の尊厳、思いやりのための最も強い声を必要としている」(グテーレス国連事務総長)、「(気候変動対策などで)人々、国家を団結させる特別な役割がある」(スターマー英首相)の声。温暖化の緩和に逆風が吹く今、日本の浅尾慶一郎環境相は「脱炭素の潮流は不可逆的」と襟を正す。後戻りをさせてはならないのだ。平和も、気候変動対策も。(潤)