サーキュラーエコノミーの未来を拓く~リユースの日に向けて~(3) コメ兵社長執行役員 石原氏 「リレーユース」の文化を定着させる

「価値あるモノを次の人へつなぐ」理念を共有

コメ兵ホールディングス代表取締役社長執行役員 石原卓児氏

コメ兵ホールディングスは「リレーユースを『思想』から『文化』にする。」をミッションに掲げ、循環型社会の実現に向けた取り組みを進めている。1947年創業のブランド品リユース大手「コメ兵」を中核に、K‐ブランドオフ(ブランドオフ)、アールケイエンタープライズ(ロデオドライブ)など国内外で20社を展開。近年はM&Aを通じて理念を共有する企業との連携を拡大し、業界全体の発展も目指す。8月8日の「リユースの日」イベントには、グループ企業のコメ兵とK‐ブランドオフが参加し、リユースの価値発信に取り組む。石原卓児代表取締役社長執行役員に、リユースの現状やサーキュラーエコノミー(CE)への展望について聞いた。

――コメ兵HDグループの特徴は。

当社グループは現在、創業79年を迎え、国内外で20社の事業会社を展開している。中核となるコメ兵は、国内外に200店舗以上展開。昔は総合リユースということでさまざまな商品を扱っていたが、30年ほど前からブランド品に軸足を置いて取り組んでおり、現在はジュエリー、時計、バッグなどのブランド品リユースを主力事業としているのが特徴だ。

グループ各社との連携をより密にすることを目的に、2020年に持ち株会社のコメ兵HDを設立し、近年はM&A等によってグループの拡大を進めている。単純に自社の規模を大きくすることが目的ではなく、事業承継に課題を抱える企業や、リユース業界をより良くしたいという思いを持つ企業と連携しながら、業界全体の発展を目指している。グループ各社の強みを生かしながら、「価値あるモノを次の人へつなぐ」という共通理念のもとで事業を進めている。

――コメ兵HDの強みは。

リユース事業の生命線は「買取」だ。そのため当社では長年にわたり目利き人材の育成に力を入れてきた。ブランド品の真贋判定や適正な査定を行える鑑定士を数多く育成してきたことが大きな強みとなっている。また、近年はAIを活用した真贋判定システムを導入している。AIと熟練鑑定士の知見を組み合わせることで、より高い精度と効率性を実現していく。

――店舗展開については。

以前は大型店舗を中心に展開していたが、コロナ禍以降は買取専門店の出店を積極的に進めている。大型店には多くの在庫や人員が必要になるが、買取専門店であれば小規模でも出店できる。駅前や商業施設内など、お客様の日常生活の動線上に店舗を配置することで、不要になったモノをより気軽に持ち込んでいただける環境づくりを進めている。

――CEに対する考えは。

当社では「リレーユース」ということを標榜している。モノを単に中古品として売買するのではなく、価値を次の人へリレーしていく、受け渡していくという考え方だ。まだ使えるモノを適切に評価し、メンテナンスし、次の利用者へつなぐ。そうすることでモノの寿命を延ばし、新たな資源投入や廃棄物発生の抑制につながる。現在では3RやCEという言葉が広く使われているが、当社はその以前からリユースの価値を社会に伝え続けてきた。リレーユースを一つの文化として定着させることが、CEの実現につながると考えている。

――日本のリユース市場をどう見ているか。

市場は今後も成長すると考えている。若い世代を中心にリユースへの抵抗感はなくなってきている。購入時から将来のリセールを意識する消費者も増えている。一方で、日本にはまだ市場に出ていないモノが数多く存在している。業界として重要なのは既存顧客を奪い合うことではなく、多くの家庭内に眠っている資産を循環させることだ。リユース市場にはまだ大きな成長余地があると見ている。

――リユース普及に向けた課題は。

若い世代を中心に意識が変わってきたとはいえ、依然としてリユースにネガティブな印象を持つ人もいる。偽物への不安や品質への懸念を抱く人も少なくない。だからこそ真贋判定や品質管理が重要になる。安心して利用できる市場環境をつくることが、業界全体の発展につながる。また、リユースは環境のために我慢して行うものではない。良いモノを適正な価格で購入できる、その人にとっての不要品を別の人の価値ある資産にできるという、「楽しさ」や「利便性」を伝えていく必要がある。

――「リユースの日」イベントへの期待は。

リユース業界全体で認知向上に取り組む貴重な機会だと考えている。普段は競合関係にある企業も、リユース文化を広げるという目的は共通している。今回のイベントにはコメ兵、K‐ブランドオフが参加する。それぞれ異なる顧客接点や強みを持つ企業が一体となって発信することで、より多くの人にリユースの価値を伝えられると考えている。業界全体の可能性を広げるイベントになることを期待している。

――出展内容は。

子どもたちやその保護者に、リユースを身近に感じてもらえる企画を検討している。鑑定士の仕事を体験できるプログラムやアップサイクル企画などを通じて、モノの価値を見極め、次の人へつなぐことの意義を体感していただきたい。将来の循環型社会を担う子どもたちにモノを大切に使うことや、不要になったモノを次の人へつなぐことを体験してもらう意義は大きい。

――グループの今後の展望は。

当社としてはこれからもリレーユースの価値を広げていきたい。自社の成長だけでなく、業界全体の発展にも貢献したいと考えている。そのためには真贋判定技術や人材育成の強化を進めるとともに、多くの企業や団体との連携を広げていく必要がある。リユースに対して依然として残るネガティブなイメージを払拭し、安心して利用できる市場環境を整備していくことも重要な課題だ。リユースを特別な行動ではなく、誰もが自然に参加できる文化へと発展させたい。モノの価値が適切に循環するCEの実現に貢献していきたいと考えている。

(聞き手・黒岩修)

サーキュラーエコノミーの未来を拓く~リユースの日に向けて~(3) コメ兵ホールディングス代表取締役社長執行役員 石原卓児氏 「リレーユース」を一つの文化として定着目指す 「価値あるモノを次の人へつなぐ_コメ兵ホールディングス代表取締役社長執行役員 石原 卓児 氏
コメ兵ホールディングス代表取締役社長執行役員 石原 卓児 氏=クリックで拡大=
サーキュラーエコノミーの未来を拓く~リユースの日に向けて~(3) コメ兵ホールディングス代表取締役社長執行役員 石原卓児氏 「リレーユース」を一つの文化として定着目指す 「価値あるモノを次の人へつなぐ_中核となるコメ兵は国内外に200店舗以上を展開
中核となるコメ兵は国内外に200店舗以上を展開=クリックで拡大=

おすすめ記事 recommend