東京下水設備協、下水道局に要望活動 ゼロエミ見据え

東京下水道設備協会(三井田健会長)は今月6日、東京都下水道局に2030年までに温室効果ガスを50%削減するカーボンハーフ、さらに廃棄物の排出を実質ゼロにするゼロエミッションの実現を見据えた下水道設備工事に関する要望書を提出した。

佐々木東京都下水道局長(右)に要望書を提出する三井田会長(左)

要望事項は、▽スライド条項の適切な運用▽ペーパーレス化の推進▽電子契約制度の導入▽施工条件の明示▽材料検査▽スタートアップ企業との連携――の6項目など。

それに対し東京都下水道局は、各項目について以下のとおり指針を示した(杉山施設整備担当部長)。

スライド条項の適切な運用については、急激な物価水準等の変動を鑑み、改めて6月に関係部署に対して説明を行い、適切な対応と周知の徹底していく。

ペーパーレス化の推進については、4月に改定した設備工事標準仕様書で新たに「情報共有システム」に関する記載を追加。これを活用し、受注者等提出書類基準で定められていない施工中の写真や資料などの工事関連資料について電子データでの対応を可能とし、受注者の負荷軽減への寄与を図かっていく。

電子契約サービスの導入については、早期導入に向けた検討を引き続き進めていく。

施工条件の明示については、特記仕様書等への明示を行うとともに、狭小で大深度など施工条件が厳しい場合には、搬出入時の制限などを特記仕様書等に明示するよう適切に対応していく。

材料検査については、コロナ5類移行後も引き続き同一工事、同一仕様、同一の工場で同じ年度に検査を行う場合、検査員と協議のうえ、2回目以降の検査を立会検査から書類をもって設計図書が要求する品質の確保を判定する照合検査に移行する対応とする。また、材料検査資料のペーパーレス化も検討していく。

スタートアップ企業との連携については、東京都が推進するスタートアップとの協働を踏まえ、各局と連携し取り組んでいく。また、都や国が主催する官民連携イベントなどを通じて局が抱える課題を発信することで、マッチング機会の創出に努めていく。

そのほか、流域下水道については「多摩地域下水道事業の着実な推進を図るために、技術開発も含めた設備技術のさらなる向上が不可欠だ。関係団体や企業との共同研究などを通じ、多摩地域全体の下水道事業の発展・向上に向けた協力を進めていきたい」(佐々木技術部長)と展望した。

また、30 年度カーボンハーフの実現と50 年ゼロエミッションの実現に向けたビジョンを掲げ、東京都下水道局が3月に策定した下水道事業における地球温暖化防止計画「アースプラン2023」については、「従来の技術の導入と継続に加え、革新的な技術の開発と導入が必要だ。実現に向け、関係団体や企業と力を合わせていくことが非常に重要だ」(田中次長)と強調した。

東京下水道設備協会は1984年、東京都における下水道設備の整備拡充を図るために設立。風水力、電機、処理装置等の企業が専門技術の向上、維持管理に関する技術的調査研究、普及啓発等の事業を行い、都民の生活環境の向上と地球環境保全に資する活動を続けている。