2026年 我が社の環境ビジネス戦略 大林組 専務執行役員グリーンエネルギー本部長営業総本部副本部長 安藤賢一氏

NZの再エネ拡大でEG社に出資

グリーン水素の日本輸出で事業立ち上げ

――初めに、御社グループのグリーンエネルギー事業の概要と2025年度の主な展開は。

当社グループでは、持続可能な社会の実現に向け、多様化している社会の脱炭素化ニーズに対応できる知見や経験を蓄積しながら、建設、開発、新領域事業との相乗効果が得られる取り組みに注力している。主な事業の柱として、太陽光や風力、木質バイオマス、地熱の各発電などに取り組んでいる。また、海外では、オセアニア地域における再生可能エネルギー事業やグリーン水素の供給に向けたサプライチェーン(SC)の構築を着実に進めている。

25年度の主な事業展開のうち、まず海外のトピックとしては、ニュージーランド(NZ)の地熱を中心とするイーストランド・ジェネレーション(EG)社に出資した。

当社は18年度に、地熱発電由来のグリーン水素の製造・流通を目的としたハルシオンパワー社(タウポ市)を、現地の先住民マオリの信託組織であるトゥアロパキ・トラストと共同で設立し、21年度にはNZ初のメガワット級水素製造プラントを開所して、SC構築の実証を展開してきた。その流れのなかでEG社から出資の話があり、当社が55%出資した。

EG社では、現在稼働中の地熱3カ所、水力1カ所、太陽光1カ所の計約60メガワットに加え、26年1月には約45メガワットの地熱が新たに稼働し始めるので、トータルで100メガワット強の再エネを新たに確保できる。EG社は地熱が中心なので、関連技術は当社が提供し、彼らの発展を支援していきたい。また、単なる発電だけでなく、排出したCO2の地下注入や天然水素の探索なども展開していく考えだ。

また、もう一つのトピックとして、NZでグリーン水素を大量に製造し日本に輸出する商業規模のプロジェクトと、そのためのコンソーシアムの「日本ニュージーランド水素コリドー」を立ち上げた。

当社は24年度に、NZで製造したグリーン水素をフィジーに海上輸送し、現地で利活用する実証に成功した。その次の流れとして、25~26年度にシンガポールへグリーン水素を運ぼうとしており、その経験をベースに、今回のプロジェクトとコンソーシアムを立ち上げた。

今後、26年度にフィージビリティスタディをやり、しっかり詰めたうえで、基本設計に進もうと考えている。そして、30年代前半に日本へ大量に運ぶようなイメージを考えている。水素の受入先の一つには、日本水素エネルギーと川崎重工業が川崎市の扇島に建設する液化水素基地も考えられると思う。

――安藤さんは25年6月に、NZで水素活用の優れた企業や個人の業績を表彰する「アオテアロア水素賞2025」を受賞しているが。

アオテアロアとはマオリ語でNZを意味するが、この賞には6部門あり、私は「PERSON OF THE YEAR AWARD」をいただいた。

――一方、国内の再エネ事業のうち、太陽光については。

再エネ全体では今、計300メガワット弱の規模まで拡大しているが、太陽光については稼働中の36カ所で計140メガワットほどとなっている。屋根置きの太陽光も当社保有の不動産や工場等でオンサイトPPAなどをやっているほか、新たにバーチャルPPAも展開していく考えだ。

――洋上風力の今後のラウンドに向けては。

当社はすでに秋田県の秋田港と能代港で商業運転の実績があるが、今の入札案件については、少し積極的に行きにくいかなと思っている。いわゆる「3円入札」の話があり、発電した電気を購入するオフテーカーをしっかり持っていないと、電気が使われず無駄になってしまう。ただ、諦めたわけではなく、当社の経験を評価していただき、一緒に組もうと言っていただける方がいれば、参加を含め検討したいと思う。

なお、再エネの関連で、当社は24年度分の国内の電気由来のスコープ2排出量ゼロを、非化石証書も含め達成している。

――25年度の売上高と営業利益の見込みは。

国内の発電所の管理運営をしている子会社の大林クリーンエナジーでは、25年度に189億円の売上高と22億円の営業利益を見込んでいる。また、中長期的な営業利益では連結ベースで年間100億円を目指しており、30年ということであれば、開発のスピードが早い海外がその約7割を占めると考えている。

――最後に、26年度に向けた抱負・展望を。

26年度も引き続き、再エネの拡大に向けて進めていく。また、NZから日本にグリーン水素を輸出するプロジェクトを立ち上げたので、それをしっかり進めていくことが一番の課題だと思っている。加えて、国内の再エネの有効活用という意味で、蓄電池の導入も進めていきたいと考えている。

2026年 我が社の環境ビジネス戦略 大林組 専務執行役員グリーンエネルギー本部長営業総本部副本部長 安藤賢一氏 NZの再エネ拡大でEG社に出資 グリーン水素の日本輸出で事業立ち上げ_大林組 専務執行役員 グリーンエネルギー本部長 営業本部副部長 安藤 賢一 氏
大林組 専務執行役員 グリーンエネルギー本部長 営業本部副部長 安藤 賢一 氏