環境法のうらよみ(9) プラ資源循環促進法と容器包装リサイクル法 大規模リサイクル業者の一人勝ちの懸念も 

昨年4月に施行されたプラスチック資源循環促進法には、3つの事業計画認定が規定されている。「自主回収・再資源化事業計画認定」「再資源化事業計画認定」「再商品化実施計画認定」である。

再商品化計画は一般廃棄物となるプラ容器包装以外のプラスチック使用製品廃棄物を対象とした計画であり、認定申請者は市町村である。環境省から、第1号認定が昨年9月30日に仙台市に、第2号認定が昨年12月19日に愛知県安城市と神奈川県横須賀市にそれぞれ出された。

また、経済産業省から、今年4月19日に自主回収・再資源化事業計画認定が緑川化成工業に、再資源化事業計画認定が三重中央開発とDINS関西にそれぞれ出された。これらの計画は産業廃棄物を対象としている。

プラ循環法では、一般廃棄物となるプラスチック使用製品廃棄物の分別収集を義務づけている。分別収集物は、容器包装リサイクル法によるプラ容器包装と分けて収集してもよいし、一括収集してもよいとされている。

再商品化は、プラ循環法第32条により容器包装リサイクル協会に委託してもよいし、同法35条による再商品化計画の認定を受けた場合には、計画書に記載された事業者に委託してもよいことになる。さらに同法第35条により、認定再商品化計画に記載されたプラ容器包装は容リ法の分別基準適合物とみなされ、同法の規定を適用することとされている。

以上をまとめると、再商品化計画の認定を受ければ、市町村はプラ容器包装とそれ以外プラ廃棄物を一括回収し、計画に記載された事業者に再商品化を一括委託し、容リ協による入札を経ていないプラ容器包装についても、容リ法による費用負担を受けられることになる。

容リ法では、再商品化にかかる費用を特定事業者(容器包装を使用する大手製造業者、小売業者等)と市町村がそれぞれ負担することとしている。負担率は毎年変わるが、2011年度からはずっと特定事業者が99%、市町村が1%である。つまり、プラ循環法の認定再商品化計画に記載されたプラ容器包装については、市町村は再商品化費用の99%を特定事業者に費用負担してもらえることになる。

容リ協は、市町村が再商品化したプラ容器包装の数量に、容リ協が想定した単価と費用負担率を乗じて、特定事業者の費用負担額に相当する市町村への拠出金を算定している。もしも実際の再商品化費用が想定費用より安ければ、差額の2分の1を合理化拠出金として精算することとしており、この規定は認定再商品化計画に記載されたプラ容器包装についても適用される。逆に容リ法の特定事業者は、再商品化実施委託料の算定に、プラ循環法の認定再商品化計画に記載されたプラ容器包装が算入されることになる。

第1号認定の仙台市の再商品化計画を見ると、再商品化委託量のうち90%がプラ容器包装であり、それ以外プラ廃棄物は10%である。第2号認定の安城市の計画ではそれ以外プラ廃棄物は17・5%、横須賀市の計画ではそれ以外プラ廃棄物は、初年度が5・9%、次年度以降は8・2%である。どの計画でもプラ容器包装が再商品化されるプラ廃棄物の大半を占めており、実質的にはプラ容器包装の再商品化に、微々たるそれ以外プラ廃棄物を加えた程度である。

市町村が再商品化計画の認定を受ければ、実態はプラ容器包装の再商品化なのに、容リ協を介さずに事業者と随意契約することができ、容リ協から拠出金を得られる。言葉は悪いかもしれないが、「入札抜け」が可能になるのである。

随意契約は、容リ協の入札によって委託先が毎年変わることなく安定することや、再商品化の歩留まり率、再商品化された製品の実際の利用形態や利用実績、事業者の誠実性まで考慮できることなどメリットも多い。しかし、この方法が一般化した場合は容リ法の入札制度が形骸化してしまう懸念もあり、プラ資源循環法の規定との調整を考慮した入札制度の見直しの検討も必要である。例えば市町村側から希望する入札条件を提示した「逆入札」や、複数の事業者が落札できる「分割入札」、プラ循環法の再商品化計画の申請において、事業者を特定せず、市町村が実施する「指名競争入札」によることとするといった方法が考えられる。逆入札や指名競争入札なら、地元リサイクル業者を優先しながら、競争原理も働かせることができるし、分割入札なら小規模のリサイクル業者も入札に参加できるようになる。こうした改革を検討しないと、全国的な大規模リサイクル業者の一人勝ちになってしまう。

 iメソッドフォーラム 石渡 正佳

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