新会社でCN市場に照準 グループのシナジー生かす エア・ウォーター

エア・ウォーターは1日、カーボンニュートラル(CN)市場に向けた事業展開を加速するため新会社「エア・ウォーター・グリーンデザイン株式会社」を4月1日に設立すると発表した。エア・ウォーター炭酸とエア・ウォーター・ハイドロを統合しCO2の低減化に直結する製品である炭酸ガス・水素の事業インフラと関連技術を結集し、低炭素水素の製造・供給やCO2の回収・利活用といった成長領域に経営資源を配分し、他社に先行して技術や事業ノウハウの蓄積を図る。グループシナジーを生かしたイノベーションにつなげたい考え。新会社は既存事業における製品の安定供給化と効率化の両立に取り組む。

エア・ウォーター炭酸がエア・ウォーター・ハイドロを吸収合併して両社を統合する。資本金は4億8千万円。本社は東京都港区に置く。社員は189名。エア・ウォーターの100%子会社。売上収益は2社の合算値で約240億円。

カーボンニュートラル化を成長機会と捉え脱炭素ソリューションやクリーンエネルギーに関わる新たなビジネスモデルの構築を進める。

エア・ウォーターグループは国内10カ所の製造工場で化学コンビナートや製油所から副生される炭酸ガスを回収・精製し、全国の販売ネットワークを通じてさまざまな顧客に供給している。低濃度の排ガスからCO2を分離回収する技術を持っており、CO2を利活用したり化学原料や燃料となる合成メタンに再利用する技術開発にも注力している。さらに、木質チップや生物資源由来のCO2を原料とした「グリーン炭酸」の製造を検討している。水素ガスの製造、貯蔵、運搬から使用方法に至る知見を生かしCO2を排出しない水素製造技術の開発にも取り組み家畜糞尿由来のバイオガスからカーボンニュートラルな水素を製造し、FCV(燃料電池自動車)に供給するなどの事業モデルの構築を進めている。