「ペットボトル100%サステナブル化」へ植物由来資源活用 サントリー「天然水」2リットル全数に30%使用

サントリーグループは、2030年までにグローバルで使用するすべてのペットボトルに化石由来原料の新規使用をゼロにするという「ペットボトルの100%サステナブル化」を目指しており、Reduce、Recycle、Bio(植物由来の資源を使う)を表す「2R+B」戦略に基づき、さまざまな取り組みを実施し、新規化石由来原料の使用量削減を進めている。この中で植物由来を使用する取り組みとして、このほどサントリー食品インターナショナルの「サントリー天然水」ブランドの基幹商品であるナチュラルミネラルウォーター「サントリー天然水」2リットルのペットボトル全数に、植物由来素材を30%使用したペットボトルを導入した。

飲料メーカーの業界団体である全国清涼飲料連合会では、ボトルtoボトル比率を2030年までに50%まで引き上げることを目標に掲げているが、同社グループではさらに踏み込んで、30年までにリサイクル素材や植物由来素材等に100%切り替え、新規化石由来原料をゼロにすることを目標に掲げている。同社はこれまでペットボトルの軽量化を進め資源の使用量削減を図るとともに、近年はボトルtoボトル水平リサイクルを積極的に推進。できる限りボトルtoボトルに切り替え、足りない分を植物由来素材等で賄っていく考えだ。

サントリーホールディングスサプライチェーン本部包材部の齋藤義弘課長は、「日本で回収されているペットボトルは年間約60万トンとされており、資源循環を考えると、最もCO2削減に有効なのはボトルtoボトル水平リサイクルで、われわれはこれを拡大していきたいと思っている。ただ、他の用途に行ってしまったり再生工程で減損したりと、60万トン全てをボトルtoボトル循環させていくというのは現実的には難しい。こうした不足分を植物由来素材で補っていく考えだ」と話す。さらには、ペットボトル以外の使用済みプラスチックをペットボトル原料にするケミカルリサイクルについても研究している。

植物由来素材30%使用のペットボトルは、すでに13年から「サントリー天然水」550ミリリットルペットボトルで導入してきたが、今年4月から同2リットルペットボトルにも順次導入を開始し、9月の製造分から全数導入が完了。ナチュラルミネラルウォーター「サントリー天然水」の主要容器の大半が、植物由来素材30%使用のペットボトルとなった。原料はフードチェーンに影響を与えない廃糖蜜由来(サトウキビの搾りかす)の素材を使用している。

「サントリー天然水」ブランドでは、これまでペットボトルの軽量化を進めており、2リットルペットボトルでは、00年の57・0グラムから現在では29・8グラムまで軽量化を実現しているが、さらに今回ペットボトル重量のうち30%分を植物由来素材に切り替えることにより、ペットボトル1本当たり約9グラムの新規化石由来原料を削減した。

齊藤氏は、「これまで軽量化を進めてきたが、顧客のユーザビリティなどを考えると、限界に近いところまで来ている。こうした中、今回30%植物由来素材に切り替えたことで、1本当たりの新規化石由来原料の使用量は00年と比較すると、約6割削減することができた」とする。

30年の100%サステナブル化に向け、すでに昨年度の時点でサステブル素材が全体の46%(重量比)となっており、今年度は50%超を目指している。「今回の2リットルボトルへの植物由来素材30%使用も、こうした目標実現に寄与する試み。今後は100%植物由来素材使用のペットボトルの導入も目指していく」とする。すでに開発ベースでは、21年に100%植物由来素材ペットボトルの技術開発に成功している。

同ブランドではペットボトル以外にも、国産最薄の12?メートルのラベルを採用していることに加え、550ミリリットルペットボトルでは国産最軽量となる1・85グラムのキャップを使用するなどさまざまな取り組みを実施している。

また近年では、容器・包装自体の環境負荷低減の取り組みに加え、ラベルを剥がす手間を省くラベルレス商品の展開や、飲み終わった空容器が、約6分の1のサイズまで〝小さく、たたみやすい”新容器を「サントリー天然水」2リットルペットボトルに導入するなど、分別促進を促すような取り組みも実施することで、より質の高いペットボトルの資源循環実現に取り組んでいる。

今後もボトルtoボトルリサイクルを中心にさまざまな取り組みを進めることで、30年100%サステナブル化の実現を目指していく考えだ。

「ペットボトル100%サステナブル化」へ植物由来資源活用 サントリー「天然水」2リットル全数に30%使用_2リットルペットボトル1本あたりの新規石油由来原料使用料
2リットルペットボトル1本あたりの新規石油由来原料使用料