水素実液の試験設備、25年に一部供用開始 荏原製作所

荏原製作所は12日、液化水素ポンプを安全・安定的に使うためマイナス253℃の水素実液を使った試験設備を備えた商用製品スケールの試験・開発センターを千葉県富津市に開設すると発表した。

水素実液の試験設備、25年に一部供用開始 荏原製作所_商用製品試験・開発センター外観イメージ
商用製品試験・開発センター外観イメージ

投資額は約160億円。液体水素ポンプについて顧客が実液を使い性能試験と品質を確認できる。センターで水素実液を取り扱え国内の水素サプライチェーンの構築に向けたインフラ関連事業を支える考え。施設の仮称は「イーハイテック」で、敷地面積1万8千平方メートル、建物面積2800平方メートル。天候に左右されない屋内閉鎖型試験施設。今年1月に建設に着工しており2025年に一部試験設備の運用を先行開始する予定。26年6月に完成する。

液体水素ポンプは水素サプライチェーンの構築に欠かせない製品。センターで性能を試せる。例えば船舶で輸送した液体水素を港湾設備で受け入れ水素配管に流す際には船舶用液体水素ポンプを使い沿岸の貯蔵タンクに送る。貯蔵タンクではインタンク(槽内)タイプのポンプで送り出しポットタイプのポンプを介してガスタービンなどで燃焼させるための気化器や、飛行機やトラック、データセンターなどエネルギーとしての用途先につなげていく。

荏原は水素インフラを新たな事業の柱と位置付け30年に300億円、40年に2千億円の売上を見込んでいる。センターを世界の水素サプライチェーンの構築に寄与すると見ている。