私たちが望む都市(63) 手間をかけることを厭わない社会へ
手間とはなにか。
辞書を見れば、手間とは「そのことに費やされる時間や労力のこと」だと書いてある。そして、手間をかけるということは、「時間や工程を多くとって丁寧に作り込むこと」だと言う。それは良いことのように思える。なのに、現代ではそうならない。手間には2つの主体があって、自分が手間をかけるなら、それによって素晴らしいものや成果を創り出すことができるという肯定的な捉え方をするのだが、相手に手間をかけさせたなら、それは相手に面倒や骨折りごとをさせたということになり、手間をかけることは申し訳なさを伴う否定的な行為となる。そして問題は、どうやら私たちの社会は、手間をかけてはいけない社会になっていた、ということである。

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