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海底下CCS、許可対象を事業全体に拡大 中環審専門委 現行の海防法見直しで報告書 圧入終了後に規制当局が改めて確認

中央環境審議会(環境相の諮問機関)水環境・土壌農薬部会の有識者専門委員会は9日、今後の海底下へのCO2回収・貯留(CCS)に係る海洋環境の保全を図るため、現行の海洋汚染等防止法での制度見直しを検討した報告書をまとめた。それによると、許可対象を事業全体に拡大するほか、圧入終了後に講ずる措置を規制当局が改めて確認する仕組みにすることが適当としている。また、許可事業者に事業終了に向けた計画の策定を求めるほか、終了措置の実施期間でも適切な管理が実施されていない場合は改善命令等を可能とする仕組みにすべきだとしている。そのほか、制度化に当たっては、産業構造審議会(経済産業相の諮問機関)と総合資源エネルギー調査会(同)における議論とも整合的な仕組みを検討すべきだとしており、今後の調整の行方が注目される。

海底下CCSの実施については、現行の海洋汚染等防止法で環境相による許可制度などが設けているが、今後、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、国内での事業拡大に加え、海外での実施を目的としたCO2の輸出が見込まれている。このため、環境相が23年8月、中環審に今後の海底下CCSに係る海洋環境保全のあり方について諮問していた。

今回の専門委報告書によると、①許可の考え方・期間②貯留するCO2の特性③モニタリング④事業終了時の措置⑤事業譲渡⑥対応者が不在となり得る事案への対応⑦輸出――の7つの論点について、制度見直しなどの対応が必要としている。

このうち、①では、今後国内で実施されるCCS事業について、現行制度の許可の最長期間である5年間よりもはるかに長期の事業となることが見込まれるため、終了措置を含む事業全体に許可対象を拡大し、事業開始の際に終了時も見据え評価することが適当としている。また、当初の許可で圧入終了後に講じる措置の暫定的な内容を審査するほか、圧入終了後に講じる措置の最終的な内容は、事業終了が見込まれる段階で規制当局が改めて確認する仕組みとすることが適当としている。

②では、CO2の分離・回収方法としてアミン化学吸収法のみを定めている現行制度の規定を見直し、同吸収法と同程度の性能を有する方法も柔軟に活用できるようにすべきだとしている。

③では、現行制度における「通常時」「懸念時」「異常時」の3段階の監視レベルの設定を今後も維持すべきであり、監視結果を踏まえ、漏出の恐れがあると判断されれば、具体的な漏出防止措置を検討・実施することになるとしている。

④では、許可事業者に対し、事業終了に向けた計画の策定を求め、同計画に従って終了措置を講じさせるべきだとしている。また、規制当局が確認するまでの間は、引き続き許可事業者によるモニタリングを実施することが適当であるほか、終了措置の実施期間でも、圧入中と同様、適切な管理が実施されていない場合は改善命令等を可能とする仕組みにすべきだとしている。

⑤では、合併または分割と同様、企業の適格性を判断することで、許可内容を適切に承継させる仕組みを創設することが適当としている。

⑥では、事業終了に向けた対応を講じるべき者に対し、圧入井の閉塞等の実施を義務付けることが適当であるほか、許可事業者の破産などによる資金不足に備え、必要な資金を基金に積み立てさせるなどの対応を検討することも重要としている。

⑦では、ロンドン議定書第6条の改正に基づくCO2の輸出が可能となるよう、海底下CCSを目的とした制度を整備すべきだとしている。そのうえで、輸出先国が日本との間に同6条改正を的確に踏まえた協定または取り決めがある国かどうかを確認するとともに、輸出するCO2の性質を日本で確認することが必要としている。