東風西風 とうふうせいふう
2018年は酷暑の年で、熱中症により救急搬送された人は過去最多の約9万5千人に上った。翌19年、環境省は熱中症の予防対策として日傘の活用推進を訴えた。梅雨前の5月に当時の原田義昭環境相が自ら日傘を差して、男性にも活用を呼び掛けた▼本紙先週号の「江戸に学ぶSDGs」に書かれていたが、江戸時代は武士も町人も日傘を差して夏の暑さをしのいだ。環境省によれば、日傘を差すと体感温度を3~7℃下げる効果があるという。身近な暑熱対策として普段の生活に取り入れたいアイテムの一つといえる▼とはいえ、筆者自身まだ日傘を使ったことがない。効果はあると分かっているのに、なかなか手が出ない。その理由を考えると、できるだけ手ぶらでいたいという気持ちが影響しているようだ▼傘のシェアリングサービス「アイカサ」を運営する企業の調査で、それを裏付けるような結果が出ていた。全国の男女1千人を対象に調べた結果、男女とも日傘の購入に抵抗を感じる最大の理由として、「持ち運びの不便さ」をあげている▼今年は18年と気象状況が似ており、熱中症の注意喚起が連日出されている。不便さよりは身を守ることを優先したい。残暑はまだまだ厳しそうだ。日傘を手に入れて、効果を試してみようかと思う。(宜)