東風西風(2025年2月19日)

「下水道はいま大変ですね」。名刺交換すると相手が口々にそう言う。名刺には環境新聞と月刊下水道の2つの媒体名が入っている。1月28日に埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故を受けてのことだ。道路陥没にトラックが巻き込まれ、周辺住民に下水道の使用自粛を求めるなど、社会に大きな影響を与えた。同様の事故が起きないかという不安、早急な対策を求める声も聞く▼事故は地下約10メートルに埋設された下水道管路の破損が原因と考えられている。管路は敷設から40年以上経過するなど老朽化しており、下水の流れに高低差が生じ腐食の原因となる硫化水素が発生しやすい箇所にある。原因の詳細はまだ明らかになっていないが、地盤が軟弱であることや交通量の負荷による影響などが複合して起きたという見方もある▼国は2015年に下水道法を改正し、下水道管路のうち腐食の恐れの大きな箇所については5年に1回以上の頻度での点検を義務付けた。事故が起きた箇所も点検済みだったが、未然防止につなげられなかった▼国交省は今回の事故を踏まえて、21日に有識者検討委員会を立ち上げる。点検の対象や頻度、技術、リスク情報の共有、支援制度のあり方などが議論される。同様の事故が起きない実効ある対策を求めたい。(宜)