東風西風 とうふうせいふう
環境省幹部から最近、「ウェルビーイング」という言葉が頻繁に聞かれるようになった。それもそのはずで、先月閣議決定された第6次環境基本計画では「ウェルビーイング/高い生活の質」が最上位の目標に掲げられている▼計画にウェルビーイングの明確な定義はないが、調べてみると、富山県が22年に策定した成長戦略の中心にこの目標を据えている。「収入や健康といった外形的な価値だけでなく、…周囲の人間関係や地域社会とのつながりなども含めて自分らしくいきいきと生きられること」とある▼県はウェルビーイングの向上が経済成長との好循環を生むと捉えた。基本計画でも、ウェルビーイングには賃金やGDPなどの市場的価値と健康や快適さといった非市場的価値があり、双方を引き上げていく「新たな成長」を目指すとしている▼そのための視点として、①ストック(資産)②長期的視点③本質的ニーズ④無形資産⑤コミュニティ⑥自立・分散を挙げた。中でも自然資産の維持・回復・充実が鍵だとし、その実現に向けた行動の重要性を強調。政府、国民、企業が共に進化する「共進化」の必要を説いた。人それぞれのウェルビーイングがある。各自がそれを追求し行動に移すことが社会の変革、環境危機の克服につながる。(宜)