東風西風(2025年4月2日)

下水道管路の破損に起因するとみられる埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故。再発防止に向け国土交通省は先月18日、自治体に対し下水道管路の「全国特別重点調査」を要請した。調査対象となる管路の延長は約5千キロメートルで、優先度をつけて1年以内をめどに調査が行われる(本紙3月26日付既報)▼重点調査に当たっては、道路管理者と下水道以外の地下占用事業者に協力要請が行われた。道路下には下水道だけでなく水道や電気、ガス、通信などの管路が設置されているのだから当然ともいえる。道路管理者には、過去の道路陥没履歴、路面下の空洞調査の結果や地質情報などを下水道事業者に提供することも求めた▼これらの要請から分かるように、これまで道路と地下占用物の情報共有は十分でなかった。今回の事故を受け同省は、道路メンテナンス会議の下部組織として「地下占用物連絡会議」を設置し、直轄国道で義務付けている占用物の管理状況報告を都道府県や市区町村にも広げる仕組みづくりなど、情報共有の強化に乗り出した▼下水道管理者とそれ以外の地下占用事業者および道路管理者との連携は事故再発防止対策の論点の一つだ。情報共有を進め、これを契機に道路と地下占用物を一体的に捉えた管理体制の構築につなげたい。(宜)