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東風西風とうふうせいふう

邦画「せかいのおきく」を観た。貧しくも懸命に生きる若者たちを描いた作品だ。舞台は江戸末期。序盤、中次、矢亮、おきくは雨宿りした軒先で出会う▼現在のリサイクル業者にあたる古紙の売買で生計を立てている中次は、矢亮と言葉を交わす中で、矢亮の仕事、下肥の売買(現在のし尿収集業にあたる)の方が儲かるのではと、間もなく矢亮の仕事を手伝うようになる。当時は紙のリサイクルより、農産物の肥料となる食に直結する下肥の方が、需要があったのだろうか。引取先から買取額が安いと暴力を受けた際に、矢亮が桶からからこぼれた下肥を拾い集めるシーンは印象的だ▼その下肥が今、注目を集めている。日本は現在、化学肥料のほとんどを輸入に頼っているが、穀物需要の増加や原油、天然ガスなどのエネルギー価格の高騰、さらに、中国は輸出検査を厳重化して、ウクライナへの侵攻の影響でロシアからの輸入は停滞している▼こうした状況を受け、国内資源を活用した肥料を利用しようという動きが出てきているからだ。対象となる資源は畜産堆肥、下水汚泥、食品廃棄物などだ。価値ある有機性廃棄物の資源循環。江戸時代に回帰するようだが、うまくいくことを期待したい。(平)