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気候ネットワークは15日、「ハーグ高裁シェル判決をうけて」と題する声明を発表した。21年5月にオランダのハーグ地裁がロイヤル・ダッチ・シェルに対し、スコープ1・2の排出削減を法的義務とし、スコープ3は努力義務であるものの、30年までに19年比で45%の削減を命じた裁判の控訴審判決だ▼今月12日にあった今回の判決では、1審のNGO側の勝訴判決を覆し、スコープ1~3の全てに対する請求を退けたものの、声明では判決のなかで、危険な気候変動からの保護を含む人権は社会的な注意義務の基準に影響を及ぼすことなどが指摘されたと強調▼また、地球温暖化を1・5℃に抑えるためには、19年比で30年末までに正味45%削減し、50年までにゼロにする経路を選択しなければならないという広範なコンセンサスの存在も認められたとしている▼この点が正に日本の「若者気候訴訟」などで求められているものであり、その意義と必要性を後押しするものであって、火力発電事業者の排出削減責任はより明確になったとしている▼声明でも強調されている通り、日本の発電部門に求められる排出削減の水準は、IPCCの第6次統合報告書の水準を下回ることは決してないことを改めて想起すべきだろう。(工)