東風西風
域外から産業廃棄物が流入して処理されるのを規制する目的でかつて多数の都道府県・政令市で運用されてきた事前協議制度がその役割を終えつつある。近い例で千葉県が来年1月にも一部の手続きを緩和する。従来、産廃を集めて処理場に運ぶ収集運搬時にも排出者に求めてきた協議を取り止め、最終処分時のみに絞り込む。それに先立つ今年1月には長野県が搬入時協議の廃止を断行した。いずれも制度が必要とされた昭和・平成期に比べ廃棄物処理に関する手続きが厳格化し環境が変わったのが背景。長野では仕組みが使われなくなり、千葉では法規制と重複する手続きがあり事業者の手間を増やした。さらには区域を超えた広域の再資源化を助ける再資源化事業高度化法も5月に公布されており制度の趣旨がかち合っている▼するべきことやしてはならないことを明らかにし社会・経済活動を望ましい方向に導く規制。「規制が動けば経済が動く」との言説も一方の主張として支持される中、いわば資源循環の「経済が動いたことで規制が動いた」と言えそうな今回の動向だ。今号で特集したPFAS対策もしかり、規制を望む者、望まぬ者の間で様々なグラデーションが見える。いつの時代も関係者の気を揉ませるのが規制の宿命だ。(潤)