東風西風 とうふうせいふう
高齢化社会が進む中で、ごみ問題は大きな課題となって来ている。高齢者は重いごみをごみ集積場に運ぶことが困難になり、また特に過疎化が進んでいる地方などではなかなか一定量のごみが集まらないので収集が非効率になってしまう▼また、長年使ってきたものには愛着があるためなかなか処分ができず、ものが溜まっていって、亡くなった時に遺族が処分に困るということもしばしば。さらに、直接のごみ問題とはちょっと違うが、親が高齢になって施設に入ってもらうことを決め、家を売ってその資金に充てようとしても、持ち主である親が認知症と診断されると、基本的には売却できなくなってしまう。そうした広い意味での「片付け」は、一人ひとりが早くから対応していくことが必要だ▼行政や一部の企業等で高齢化社会のごみ問題への取り組みは活発化して来てはいるが、まだまだ啓発が足りないように感じる▼今や「循環経済」は国家戦略となっている。廃棄物を資源としてとらえ、「循環」させて経済の発展を目指すのが循環経済だが、次の世代に課題を残さないよう一人ひとりがごみ問題と向き合って対応し、次世代ができるだけ生活しやすい環境で引き継ぎ、そのまた次世代にも渡していくという「循環」も重要だ。(心)