東風西風 とうふうせいふう
先日取材した「水と流域」フォーラムにて。飛鳥奈良時代の治水と国土開発、水と生命誌と宇宙の循環、内容の濃い2つの基調講演が終わり、さて昼休みと気を抜いた瞬間にそれは始まった▼登壇者は、自作のポスターを掲げた6人の子供たち「木津川川ガキ団」。淀川管内の川と住民と行政の結び役・河川レンジヤーの手引きのもと、親子で楽しく安全に川で遊び学ぶ団体メンバーが、生き物図鑑と題して自分の「推し」について発表▼ナマズを捕獲し飼育して成長を観察…大きくなったので川に返した。ブラックバスは生態系を壊すと嫌われるけど命は同じ…せめて捨てずに食べてあげたいと試したら、身が白くておいしかった。カマツカは見た目も仕草も可愛い木津川のアイドル▼川の水を顕微鏡で見たら、たくさんのプランクトンがいて驚いた。特に好きなのは、南京玉すだれのように姿を変化させるケイソウで、生き物のえさになって豊かな海を支え、死骸は石油になるなんてすごいと思う▼録音する間もメモを取る間もなく、ほとんどを失念してしまったが、澄んだ声の立派な発表に胸が熱くなった。生きとし生きるものには命があり、それぞれが懸命に使命を全うしていて尊いこと。これを体験から教える学びこそ、今最も必要な教育だろう。(孝)