東風西風

少子高齢化と人口減少が急速に進む中、自治体にとって市民の健康対策は重要な政策課題の一つとなっている。高齢者になっても健やかに暮らせる地域づくりは、医療費を抑えるだけでなく、地域の魅力を高め活性化にもつながるからだ▼近年は、心身の「健康」だけでなく、生きがいや豊かさ、安心安全など「幸せ」の要素を加えた〝健幸〟な街づくりが注目されている。9日に開かれた環境福祉学会のシンポジウムでは、静岡県三島市の事例が紹介された▼同市は、あらゆる分野に健康の視点を取り入れた街づくりを進めている。目標は健康寿命をのばし、幸福度を高め、地域を活性化させる「健幸都市」。「歩きたくなる環境づくり」に向け、汚れたせせらぎを市民と共同で復活させ、市内130カ所に花壇を設置し市民・企業が協力して管理を担う仕組みを作った。企業の健康経営や女性の支援などにも積極的で、その成果は市民の幸福度の上昇に表れているという▼第6次環境基本計画は、「ウェルビーイング」を最上位の目標に掲げ、環境を基盤に経済・社会問題の同時解決を目指すことをうたう。持続可能な社会づくりを進める上で、〝健幸〟は重要なキーワードになるのではないか。弊紙でも今後取り上げていきたいテーマだ。(宜)