東風西風とうふうせいふう

現在本紙資源循環面で連載中の、元千葉県職員で産廃Gメンとして活躍した石渡正佳氏が独自の視点で廃棄物処理法を読み解く「環境法のうらよみ」。今号掲載分でテーマに取り上げているのは「二廃(にはい)」▼もちろん正式に二廃という区分はなく、家庭から排出される一般廃棄物(一廃)と産業界の事業活動で排出される産業廃棄物(産廃=三廃)の間にあるとも言える、「事業系一般廃棄物」を揶揄した表現だ。日本では廃棄物は同じものでも出所によって区分が変わる▼先日ある産廃処理施設の竣工式を取材した時、地元紙の記者から「家庭からのごみが多くなると安定処理に影響が出るか」といった趣旨の質問が出ていた。産廃処理施設なので一廃は受け入れていないのだが、一廃、産廃の区分があることを知らなかったようだ。専門紙ではないので仕方ないが、いろいろ取材の機会がある記者でも認識していないのだから、一般にこうした廃棄物の区分を正しく認識している人はごくわずかだろう▼不適正処理への対策などさまざまな理由から設けられた廃棄物の区分だが、これが資源循環の障害となっているケースも少なくない。サーキュラーエコノミーへの転換に向け、そろそろ見直す時期に来ているのではないだろうか。(心)