東風西風(2025年7月2日)
環境省はこのほど、環境課題の統合的取り組みと情報開示に係る手引きを公表した。気候変動や自然資本など多様な環境・サステナビリティ分野で企業の情報開示への要請が強まっていることに対応し、作成したものだ▼この手引きでは、「統合的アプローチ」により、各分野の開示要求に個別に対応するのではなく、それぞれの「つながり」を意識して取り組むことを提案▼具体的には、TCFD(気候変動)とTNFD(自然資本)のフレームワークに基づく開示を主な対象としている。これにより、経営の関与の下で企業の業務プロセスを改善し、多様な環境課題に効果的、効率的に対応した情報開示につながるとしている▼また、TCFDとTNFDには違いもあるが、共通する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つの柱に沿い、「気候変動は自然資本と相互関係性がある」ことを前提に取り組むことが重要だと指摘▼それにより、環境課題間のつながりを理解して、横断的なリスク管理・ガバナンス体制を構築し、レジリエンスの向上を図っていくというステップで、取り組みの深化を図れるとしている。具体的で分かりやすい企業の事例紹介もあり、経営層や関連部門の担当者にとって必読の資料と言えよう。(工)