東風西風(2025年4月23日)
資源循環、リサイクルが潮流となる中で、九州・鹿児島の人口約1万2千人の町、大崎町が世界的に注目を集めている。環境省が3月末に公表した23年度一般廃棄物の処理状況で、同町のリサイクル率は83%と全国の市町村でトップ。日本一はこれで実に16度目となった▼もともと焼却施設を持たない同町は、出たごみは全て埋め立て処分していた。しかし、処分場の残余年数がひっ迫してきたことから、1998年、カン、ビン、ペットの資源ごみ3品目から分別をスタートした。開始に際しては住民説明会を繰り返し開いて理解を求めたが、担当者が町民からビンを投げつけられることもあったという▼それから徐々に分別品目を拡大していき、現在は実に28分別に及んでいる。すでに分別回収をスタートさせてから四半世紀が経過、分別は町民にとって当たり前のこととなってきている。同町で生まれ育って、他の地域に引っ越した人が「燃えるごみ」という区分があることに驚くケースもある▼現在同町ではユニ・チャームと連携して、各地で課題となっている使用済み紙おむつリサイクルの取り組みも進められている。大規模都市で同じことを行うのは難しいだろうが、循環型社会に向け、同町から学ぶことは多そうだ。(心)