東風西風(2025年2月12日)
「PFAS」とは何なのか。国際的に統一された定義を持たずそのうち有害性のあるものすら疫学的に単一の疾病に必ずしも結びつかないとされる。その捉えどころのなさが政策決定の最前線で問題となり、いわくPFAS物質の「群」か「類」か、個別物質をリストで挙げるか注釈にするか、一般に向けてどう表示するかで国内きっての有識者が首をひねっている▼環境省が招集した専門家会合でただちに健康リスクは確定できないものの注意を要する8つのPFAS物質について今後の情報収集のために合算した濃度を水道事業者に報告させる方向性が了承された。論点となったのは事務局の同省が提案した8物質の「PFAS群」の呼称。経済界寄りの委員は「あたかも全てのPFASが一群となって有害性を懸念させる取り扱いは毒性が認められていない有用性の高いその他のPFASにすら忌避感情を引き起こし社会・経済活動を停滞させかねない」と指摘。結論がその日に出ることはなかった▼ある業界団体はこんな場合「特定PFAS」と呼ぶことを提唱する。科学的にリスクが確かめられた一部のPFASを「特定」とする。この語の用法は示唆に富み、リスクが否定できない間の層にも何らか限定を加えて示す方法もあるのか。(潤)