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東風西風 とうふうせいふう

スイスから訪日した友人の誘いで、京都は亀岡から嵐山までの「保津川下り」を初体験した。山間をトロッコ列車でガタゴト進み、バスを乗り継いだ先の乗船場は笑顔の外国人観光客であふれている▼救命胴衣を着け、乗り込んだ舟は想像以上にシンプル。動力源は3人の船頭と川の流れのみ。へ先から長い竿で舟を進める「棹さし」、漕ぎ手の「櫂ひき」、後方で舵を取る「舵もち」が力を合わせ、交代しながら30人近い客を16キロメートル先の渡月橋付近まで運ぶ▼英語を交えた案内やジョークを話しながら、舟を巧みに操る船頭たちのエンターテイナーぶりには感心しきりだが、それ以上に感動したのは、目の前に次々に開ける見事な景観だ。川面のきらめき、岩の趣、両岸の緑。季節感あふれる自然はきめ細かで美しい▼舟は右に左にと峡谷を縫うように進み、甲羅干しする亀の姿に和んだかと思えば、急流を勢いよく滑って水しぶきを上げ、岩にぶつかりそうなスリルある場面も。1時間半の舟旅は痛快だ▼「来るたびに景色が違う。3回目もやはり楽しかった」と喜ぶ友人は、世界有数の名峰の麓、環境保護に力を注ぐ町に住む。「日本の自然は季節の移ろいがエレガントで素晴らしい」の褒め言葉に、「確かに」と強く思う。この

四季を守るため、すべきことは山ほどある。(孝)