2026年 我が社の環境ビジネス戦略 ウエリントンラボラトリーズジャパン 副社長 加坂紳 氏 先手必勝の分析市場開拓

PFAS「要検討項目」を囲め

――飛躍の1年になった。

有機フッ素化合物(PFAS)向け分析試薬の販売が好調で、その前年度から引き続き伸び率を維持した。好調をけん引しているのは日本の測定・分析市場にターゲットを絞り、グローバル会社の日本代理店である当社が独自に開発を呼び掛けた「3種PFAS混合標準品」。これは当社内で在庫を抱え顧客の要望に迅速に応じる体制を構えてきた。販売を開始した2024年の当初こそ出足が鈍く、なかなかはけずに苦慮していたところではあったが、ここ最近は飛ぶように売れている。毎週十分な余剰分を加えて発注を掛けているのだが、在庫が枯渇しかねない勢いだ。

この「3種」は、特に今年4月から水道水での水質検査が義務付けされるPFASのうち、PFOS、PFOAの2物質と併せ、国内で23年に第一種特定化学物質に指定され製造と輸入を原則禁止されているPFHxSを同時に分析できる。水道水質検査機関向けに伸びている。売れ行きを考えれば当面需要は固いと見ている。

――今年はどう臨むか。

3種の拡販に注力しつつ、昨月投入した新商品「10種PFAS混合標準品」を訴求していく。

12月8日に発売した「10種」も、水道の水質基準物質をメインにした3種と同様に、水道水質検査の労を省くのが狙い。PFASのうち3種でターゲットにした規制物質の2つに加えて、国内で検出実態がありデータを集めるため調査が推奨されている「要検討項目」の8物質(PFNA、HFPO―DA、L―PFBS、L―PFHxS、PFBA、PFPeA、PFHxA、PFHpA)を一括で精密に調査できる商品。国内の検査当局の再三の要望を受け、本社の開発部隊に働き掛けて、対応するサロゲートと共にラインアップに追加した。

――国内の分析ニーズにフィットさせたのが特長か。

これまで主力の3種より多種の分析をしたい要望には、12種や30種などを合わせた混合標準品を使うよう推奨するというのがグローバル本社の見解。従って今回の日本独自の実態を受けた検査ニーズに対してはちょうど適した商品がなく、いわば「商材の隙」が生じていた。

そこへきて、先程も言ったように検査当局から学会展示などのさまざまな機会で繰り返し商品化の要請を受けており、競合社に商品開発で先を越される懸念も拭えないことから、本社の開発と数次にわたる折衝を行いなんとか商品化に漕ぎつけた。

今後、当局が分析機関における要検討項目の検査方法をメソッドとして具体化させると我々は睨んでおり、その際に新たに生じる分析ニーズを10種で囲い込めれば上々だ。3種は競合社も同様の製品を発売しているが、10種の市場に先手で着手できれば大きなアドバンテージになる。

――ただ裏を返せば市場が立ち上がっていないとも感じられる。

そういう意味で10種の需要はまだ顕在化していないため、当社として大きな挑戦となる新商品だ。PFASのうち10物質を特定するのは日本にしかない考え方のため、国外代理店で売ることは難しい。当社が開発を呼び掛けた手前、本社に対する責任もある。今回も国内在庫を抱えるが、3種に比べて単価が高くハンドリングの難しさもある。何より大半の物質がまだ水質検査の規制物質ではないというのが弱気の材料だ。

関係先の動向を注視しつつ拡販に努めていくことになる。比較的大規模の自治体で分析する機関向けに販路を開いていく。

――PFASを含む今後の化学物質対策のポイントは。

PFAS関係で最近、問い合わせが増えているのは食料品。これらは製造工程で大量の水を使い、人々の口から直接取り込まれるため現在の水道水質規制の延長でリスク管理の重要性が指摘できる。

当社と取引のある複数の大手食品メーカーは基本的に3種を使って製造ラインを調べているが、熱心なところでは米国EPAの示す30種類を調査している。

食品という観点で見るなら、水以外にも原材料となる農作物中に取り込まれるリスクも。政府が検証を進めておりさらなる情報の公開が待たれるが、いずれにしろ製造ラインで分析する必要性が増すと考える。また、食品製造に限った話ではないが、製造・加工や廃棄物処理の過程で出る排ガス中のPFAS分析も大きなトピックとなるのではないか。

PFAS以外で、国外はタイヤゴムから飛散した「6PPD―Q」と呼ばれる物質が話題。シャケなどの特定の魚類に極めて強い急性毒性を持つとされており、国内でも研究調査が始まるよう注視している。

2026年 我が社の環境ビジネス戦略 ウエリントンラボラトリーズジャパン 副社長  加坂紳 氏 先手必勝の分析市場開拓 PFAS「要検討項目」を囲め_ウエリントンラボラトリーズジャパン 副社長 加坂 紳 氏
ウエリントンラボラトリーズジャパン 副社長 加坂 紳 氏