バヌアツを日米豪側に引き留め 伊藤環境相訪問、奥田大使と連携
伊藤信太郎環境相は3~11日の日程で、チリと南太平洋のバヌアツ共和国を訪問中だ。4~6日にはチリのロハス環境相と会談するほかJCM(二国間クレジット制度)関連施設を視察。8~10日にはバヌアツのレゲンバヌ環境・災害管理等担当相と会談するほか気候変動に関わる現地視察を行う。バヌアツの特命全権大使は昨年7月まで環境省の自然環境局長だった奥田直久氏だ。
伊藤氏のバヌアツ訪問は、東京に18の島しょ国・地域等の首脳級を招いて首脳宣言と共同行動計画をまとめ7月18日に閉幕した「太平洋・島サミット」を受けて、同国との協力関係を強化するためのもの。首脳宣言は「平和と安全保障」「気候変動と災害」「海洋と環境」などを重点分野に位置付けた。気候変動問題への対応としては、「太平洋気候強靱化イニシアチブ」を打ち出した。行動計画は今後3年間の具体的な取り組みとして、自衛隊の航空機や艦船の派遣を通じた防衛協力の強化をうたった。中国がソロモン諸島と安全協定を結び、南太平洋を軍事拠点化しようとする動きに対処する。
ソロモン諸島の南に位置するバヌアツのサルワイ首相は7月12日、北京で中国の習近平国家主席と会談し中国寄りの姿勢を示した。バヌアツを日米豪側に引き留めるため、日本政府は漁業調査・監視船を供与するほか自然環境を生かした経済づくりへの協力を強化する。伊藤環境相と奥田大使の連携プレーが期待される。(小峰純)