移行ファイナンスの課題と期待(9/7)
2050年ネットゼロを目指してグローバルに脱炭素化が求められています。脱炭素の目標では、各国は基本的に一致していますが、そこに至る道筋(トランジション=移行)では必ずしも一致していません。電力が象徴的ですが、既存の化石燃料を燃料源とする火力発電をどこまで維持するか、あるいはどう転換するか。太陽光、風力等の再生エネルギー発電等はどれだけ活用できるか。そうした移行過程で原子力をどう扱うか。また電力以外のエネルギー多消費産業の鉄鋼、セメント、化学等の産業の脱炭素化をどう進め、その移行をどう担保するか…。こうした移行の道筋で想定される課題は、経済・産業システム全体にかかわるものといえます。ある意味で、種の「移行競争」に入ったといえるかもしれません。こうした競争をリードする各国政府の政策力が問われる形です。同時に、移行を実現するファイナンスを提供する金融機関・投資家等の民間金融はグローバル化していることから、各国が取り組む移行ファイナンス構築の巧拙度も評価することになります。さらに、こうした「移行競争」は一国だけではゴール(ネットゼロ)に到達しないため、グローバルなインパクトが求められます。
こうした視点から、現在、日本をはじめ主要国が取り組んでいる移行政策と移行ファイナンスに対する期待と課題を比較検証したいと思います。現在、EUは欧州グリーンディール(EGD)のフレームワークの中で、基本的には環境・社会の両分野にわたるグリーン・クリーン転換を最優先した政策を展開しています。米国は二大政党によって政策はかなり異なりますが、現在のバイデン政権下では、昨年のインフレ抑制法(IRA)を軸に、エネルギーの脱炭素化を促進しています。日本政府は(グリーントランスフォメーション)推進法に基づき、今後10年間に150兆円超の官民GX投資を目指すとしています。こうした日本のGX路線は、米欧の脱炭素路線に比べて、どの点が優れ、どの点が課題なのか。これらについて、現時点での当方の見解をお伝えするとともに、ご参加の皆様とご議論させていただければと考えています。
テーマ:「移行ファイナンスの課題と期待」~日本のGX戦略の検証を通じて
講師 一般社団法人環境金融研究機構 代表理事 藤井 良広(ふじい よしひろ)様
イベント詳細
日時 |
2023-9-7(木)開催/日本環境倶楽部 15:00~16:30 |
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場所 |
ZOOMによるリモート形式の開催 |
主催 |
日本環境倶楽部 |
定員 |
150名 参加無料 |