サーキュラー25環境新聞オンライントップバナー2階層目以降サイズ:W 850× 150

東風西風(2024年12月18日)

ひっくり返った1年だった。多数の罪状と裁判をはねのけ捲土重来を果たした異例の怪物、トランプ氏。米大統領へ再任を控えパリ協定からの再離脱を宣言する。国内は東日本大震災から13年を経、原発復活が政局を握る。電力の需要爆増、データセンターが「人質」だ。DXを号砲に色めき立ち上がったばかりの世論だからビンタを食わす手が弱い。行くも来たるも歳神ならば、返す返すも人の世だ▼米司法の方針により任期中は訴追をまぬがれる。実際、幾つかの審理が中止するか滞ると見られる。反トランプの旗色を掲げたメディアや企業が和解と寄付の金品を積む。新たな年の就任に自らつたない福笑いになりことほぎ立てる心掛けか。人口減の日本だがAI社会の消費電力で衝撃的な推計値を挙げる。深刻さに立ちすくむも、だまくらかした津波高を見るなら嘘は数字でつくものだ。時間は常に留まらず物の様子は定まらない。生きた世界の人心をとりこにできるすべなどなかった▼師走、睦月が名にし負う、年末年始は人々の時。変わることと変わらないこととを内に込めて、静かに年は改まる。薄皮の裏表で移ろう世情にもはや見通せることは少ない。今は近しい目と鼻を見て、せめて旧年を偲び新年の幸を喜びたい。(潤)