東風西風(2025年4月9日)

気候ネットワークは先月、アセス法改正案の閣議決定に当たり、主眼だった陸上風力だけでなく、「どさくさ紛れに」原発や火力の建て替えにまで手続きの簡略化を適用するとされたことに抗議する声明を発表した▼声明では、中環審の答申に、建替事業に係る配慮書手続きの見直しに当たっては、風力以外の他の事業種も対象となり得る制度とすることが適当との一文が加筆されたとし、その問題点を説明している▼具体的には、横須賀石炭火力の新設訴訟で明らかになったように、老朽化等で長期的に計画休止中の発電所をリプレースすることで、実際には環境影響が拡大する場合でも、その調査・予測・評価を行うことなく影響が低減するとみなされて、簡略化されてきたと指摘▼また、本来であれば環境省が2012年に策定した火力のリプレースガイドラインを活用して新規建設した場合、それまでの発電所を廃止する必要があるものの、北陸電力の「富山新港火力発電所石炭1号機」のように、計画廃止時期から10年も延期させようとするなど、制度の悪質な運用が散見されると指摘▼そのうえで、今後、原発にもこのような適用が想定され、非常に問題が多いとしており、国会の法案審議でも追及されるべきだろう。(工)