全国都市清掃会議専務理事 金澤貞幸氏に聞く リチウムイオン電池対策やAI等処理高度化に向けた発表目立つ

自治体、事業者、研究機関が一堂に会す

廃棄物処理施設ではリチウムイオン電池に起因する火災が全国で多発しており、深刻な問題となっている。また、循環経済への転換が国家戦略として位置付けられ、資源循環の取り組みが加速する中、処理の高度化に向けたAI活用などを進めることも急務となっている。こうした中、第47回全国都市清掃研究・事例発表会が1月21~23日に愛媛県松山市で開催される。今回も自治体、事業者、研究機関などの関係者が一堂に会する発表会として注目される。全国都市清掃会議の金澤貞幸専務理事に、今回の発表会の特徴や今年の一般廃棄物行政の課題などについて聞いた。

全国都市清掃会議専務理事 金澤貞幸氏に聞く リチウムイオン電池対策やAI等処理高度化に向けた発表目立つ 自治体、事業者、研究機関が一堂に会す_全国都市清掃会議専務理事 金澤 貞幸 氏
全国都市清掃会議専務理事 金澤 貞幸 氏

――全国都市清掃研究・事例発表会が松山市で開催されるが。

今回で第47回目となるが、第1回は1980年2月に行われており、当時から実行委員長を務めてこられた田中勝・岡山大学名誉教授に今回も実行委員長をお願いしている。田中先生をはじめ実行委員の皆様のご尽力の賜物で開催できると感謝している。また、開催市である松山市の職員の皆さんには、多大なるご支援・ご協力をいただいている。2021年に開催予定だったが、コロナ禍で残念ながら見送った経緯があり、今回改めて松山市での開催となる。

――今回の発表会の特徴は。

今回の発表件数は、昨年の102件を上回る115件となっている。また、参加予定者も延べ1200人以上ということで、昨年を上回る盛況な状況となっており、注目の高さを感じている。発表内容としては、近年増加しているリチウムイオン電池を原因とする火災への対策として、リチウムイオン電池の検出・除去等に関する発表が8件と多くなっている。また、資源化処理や焼却エネルギー回収部門として、AIやデジタル技術を活用した処理の高度化への取り組みについても多く発表される。

テーマ別に見ると、「運営・管理」は52件、「処理・処分技術」は昨年の39件から大きく増えて55件、「し尿・排水」3件、「産業廃棄物」1件、「災害廃棄物」4件となっている。今回も産官学から幅広い発表が予定されている。

この他、特別講演では松山大学法学部の槻木玲美教授に「人と自然の関係を日本最古の湖と瀬戸内海から見つめる」と題して講演していただく。最終日の23日には松山衛生ecoセンター、金城産業松山港リサイクルセンター、松山市西部浄化センター下水汚泥固形燃料化施設の3カ所の施設見学も予定されている。

――今年の一般廃棄物行政の課題は。

まずは全国の自治体が非常に危惧していることとして、リチウムイオン電池問題がある。昨年1月には川口市の焼却処理施設で火災が起きて廃棄物の処理ができなくなり、その更新経費や他の自治体への処理委託で六十数億円が必要となる事態となった。ごみ処理が滞ることに加え、国民をはじめ収集を行う方や工場で勤務されている方への人的被害も危惧されるので、しっかりとした対策をとらなければならない。

昨年4月には、環境省からリチウムイオン電池を分別品目として、分別収集を行うよう通知が発せられた。これは分別収集を進めていくことで、事故をなくして行こうという強い意思の表れだと思っている。この通知を受けて全国の自治体で分別収集が始まり、首都圏では川崎市が昨年11月から、横浜市でも12月から始まっている。しっかりと分別収集していくことによって、事故が減少していくことを大いに期待している。

並行して、資源有効利用促進法の指定品目にリチウムイオン使用製品であるスマートフォンやモバイルバッテリー、電子タバコ等が追加され、販売事業者、輸入事業者等がしっかりと回収し資源化するということで、目標数値を定める方向で議論が進んでいる。自治体と事業者の双方で取り組むことで、廃棄物となったリチウムイオン電池による事故を減らしていきたい。

――東京都でごみ有料化に向けた動きも出てきているが。

年末年始に小池百合子都知事が有料化についていろいろなところで発言され報道されている。東京都が有料化の方向で議論を進めるということになると、首都圏の自治体にも議論が波及していくのではないかと思っている。東京都の動向については、今後注目していきたい。

――能登半島地震から2年が経過したが、災害廃棄物への対応については。

能登半島地震に関しては公費解体、廃棄物処理とも計画を上回るスピードで順調に進んでいると聞いている。今後は復興をどうしていくかということが重要になってくる。

災害への備えとしては、地震だけではなく豪雨災害などさまざまな自然災害を想定しながら、支援を受ける際の受援体制についてもしっかりと考えておく必要がある。支援に来ていただいた人員や車両を有効活用できるよう、災害が起きた場合にどこにどう投入するかなど、事前に検討しておくことが重要だ。集積場所の地図、収集ルート、平時の排出量、交通寸断の可能性がある場所、仮置き場といった基礎資料を事前にしっかりとデータとして管理し、支援者側に情報提供することによって、災害時の混乱の中でも支援者側においてもより有効な支援策の検討を進めることができる。平時の段階からそうした準備をしておくことが重要だということを、会員都市の皆様にしっかりと伝えていきたい。

――依然循環型社会形成推進交付金の確保が重要課題となっているが。

ダイオキシン類対策で整備した施設が更新需要を迎えている状況で、まだまだそれが続く見込みだ。循環交付金は今年度については補正予算と合わせ約1500億円の財源を確保していただき、環境省のご努力には大変感謝している。しかし、まだ当面はこうした高い需要が見込まれるので、引き続き財源確保に向け国への要望活動を行っていく考えだ。もちろん全国的に平準化していくことや広域化、効率化などの努力を行っていくことも重要だが、災害時などを考えるとある程度余力を持っておくことも必要になるので、そうしたバランスも見ながら国とも話し合っていきたい。

――循環経済への移行が進む中で、全都清の役割は。

われわれは、全国の市町村と国とのパイプ役を果たすことが最大の役割だと思っている。全国の市町村の皆様のご意見をしっかりと聞いて、どのようなことに困っているのか、どのようなことを求めているのか、そうしたことをきちんと精査しながら、国に対して要望し、実現していくことが重要だ。また、国としても全国の自治体の声、どういうことに困っていて、国にどのような対応を求めているのか、といったことを聞きたいという強い思いがあるので、そうしたところでわれわれが役立てればと思っている。

(聞き手・黒岩修)

全国都市清掃会議専務理事 金澤貞幸氏に聞く リチウムイオン電池対策やAI等処理高度化に向けた発表目立つ 自治体、事業者、研究機関が一堂に会す_廃棄物処理に関する様々な研究成果が発表される(写真は昨年の特別講演の様子)
廃棄物処理に関する様々な研究成果が発表される(写真は昨年の特別講演の様子)