東風西風(2026年7月15日)
AIが人の知性に影響を与えており、もう数十年にわたり発展を続ける美容整形技術が人の美意識を操作している。自分の生み出したもので自身のあり方を変えていくのは数多の技術史が語る人間の特徴だが、知性や美観など人の核心と言える内面へこれだけ主体的に変更を迫る例は、人類史で他に例があったのか。神がつくり給いし人を人が作り変える。〝再創造〟と呼べる時代だ▼「空洞化」。中身がない形だけのもの、そのようにさせること――。AIや美容整形が人の新たな活動を切り開き、不都合を解消したのなら、事実、人に本質的な価値をもたらしている。だがそれらは人類の有史以来の成果を入力して組み替え、作り替えたもの。そのアウトプットはよく整理された情報であるのに過ぎず、消費としては当座、役に立っても、人自身の知や美の充実を示す何らか新たな価値を生み出しているとは考えられない。もしそうした「ツール」の使い方にかまけ、今までにない考え方や感じ方を自力で生み出すことを手放すなら、人として最も空虚なのは人間に他ならない。AIも相手にしない▼ただ「人は見た目が9割」とか。人の中身や本質なるものが本当にあるかどうかも意見がある。人による再創造が結局どうなるか、神のみぞ知るところだ。(潤)