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環境省「ブルータス、お前もか」―大ガスが石炭火力を新設―アセス基準の「再構築」必要
大阪ガスは3月13日、石炭火力発電所を新設する計画を発表した。木質バイオマス燃料を混焼する。100%子会社のガスアンドパワーが95%の株式を保有する中山名古屋共同発電が現在、愛知県知多郡武豊町に所有する名古屋発電所(石炭火力、14・9万キロワット)の隣接地に建設する。一方、環境省は温暖化防止の観点から、天然ガスから石炭に転じるガス業界の動きに「ブルータス、お前もか」と警戒感を強めている。新電力を含めた石炭火力のCO2削減の新たな枠組み構築が改めて求められる。
★バイオ混焼
新発電所は発電容量11万キロワット、蒸気タービン方式で、環境問題に配慮して木質バイオマスを混焼する。発電見込み量は年8億キロワット時。今春にも着工し16年度下期に運転開始の予定。発電容量が国や地元自治体の環境影響評価(アセスメント)の対象となる15万キロワットを下回るため、火力発電所としては建設期間が約2年と短くて済む。投資額は約240億円。
木質バイオ燃料の混焼比率は3割。既存電力会社の石炭火力発電での混焼比率は数%だが、3割もの混合比率は国内でトップクラスとなる。尾崎裕社長は同日の14〜20年度の経営計画発表会見の中で「石炭火力はコスト的に有利だが、環境問題が懸念される。CO2排出量は天然ガス発電所に比べ大きいため、再生可能エネルギーである木質ペレットを混合し、できるだけCO2を減らしたい」と述べた。石炭のみの発電と比べ年20万トンのCO2が減らせるという。
木質バイオ燃料の調達先は、長期・安定的に調達可能な北米の製材工場を想定しており、おがくずと圧縮成形したペレット燃料を年間12万トン輸入する方針だ。
新発電所の売電先は未定だが、バイオマス由来の電力は再生可能エネルギー・固定価格買取制度(FIT)を活用して売電する。
この日発表した新たな経営計画は、16年に予定される電力・ガスの全面自由化を見据え、ガスと電気を併売する総合エネルギー企業への脱皮を目指すもの。国内外の発電能力を現在の2倍に当たる600万キロワットに増やすとともに、海外のシェールガス田など資源権益への参画などに新たに7700億円を投じる。電力については、保有電源規模を13年度末の320万キロワット(海外140万キロワット、国内180万キロワット)のほぼ2倍にする。その第1弾として、愛知県武豊町に石炭火力を新設する。
★東ガスも表明
東京ガスも、岡本毅社長が昨年末に電力事業への本格進出を見据え「安定的な電源となる石炭火力を手がけたい」と表明している。
一方、温暖化防止の観点から石炭火力の新増設に否定的な環境省は「ブルータス、お前もか」(幹部)と、「地球環境に優しい天然ガス」をそれまで謳ってきたガス業界の石炭火力進出に戸惑いを隠せない。環境省と経済産業省が昨年4月に合意した、石炭火力新増設の環境アセスメント基準にある「新電力を含め電力業界全体を対象にした新たなCO2削減の枠組み構築」が事実上「ホゴ」にされかねないからだ。ガス会社など新電力や、新電力と既存電力の特定目的会社(SPC)の石炭火力進出計画が明るみに出る中、「CO2削減の枠組み構築」が改めて求められている。
昨年4月に合意した石炭火力新増設の新アセス基準の主な内容は、@環境アセスを始める時点で、すでに商用化されている最新鋭の技術を使うA着工中や環境アセス手続き中の発電所の最新技術も検討B新電力を含めた電力業界全体を対象にした新たなCO2削減の枠組みを構築する――というもの。なお両省はすでに、環境アセス対象の15万キロワット以上の火力発電所については国や地方自治体との手続きが複雑なため、環境アセスの開始から着工まで4年近くかかる場合もあった評価期間を、最短1年強まで縮めることで合意済みだ。
これまで環境省は、温暖化防止の観点から環境アセスを盾に石炭火力の新増設を事実上禁止してきた。小名浜火力(福島県いわき市)などの計画が白紙に追い込まれるなど、商用ではアセスから新設につながった例が2005年から途絶えている。新アセス基準により、一定の条件下で約10年ぶりに新増設に道が開けることになった。
★狙われた空白期間
政府が石炭火力の新増設を認める方向に転じた最大の理由は、燃料費が際立って安いためだ。経産省の試算によると、12年度の1キロワット時当たりの単価は石炭が約4円なのに対し、液化天然ガス(LNG)11円、石油は16円だ。
一方、石炭火力のCO2排出量はLNG火力に比べて1・7倍、石油火力と比べると1・3倍だ。このため新基準では、国が新たに策定する温暖化ガス削減目標と整合性を持つ新電力を含めた電力業界全体の総量目標を超えないよう、枠組みの中で調整することを求めている。
しかし、今月中にも閣議決定するエネルギー基本計画では、原子力、LNG、石炭、石油など電源別のシェアが盛り込まれないため、国の温暖化ガス削減目標も定まらない。この空白期間を狙って、昨年5月に東京電力が実施した21年6月までに運転開始する石炭火力入札では、@中部電力・東京電力共同の常陸那珂火力内(60万キロワット、茨城県東海村)AJパワー・新日鉄住金共同の鹿島製鉄所内(60万キロワット、茨城県鹿嶋市)が落札した。
環境アセス対象外では、中部電力が日本製紙の富士工場(静岡県富士市)に10万キロワット級を共同で建設し、16年5月の運転開始を目指すなど、石炭火力の建設計画が目白押しだ。
そこへ、大阪ガス、東京ガスという「ブルータス」も参加する。政府の温暖化対策が後退しないよう、石炭火力の「CO2削減の枠組み構築」が改めて求められている。
(2014/03/19)
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