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LPガス日陰者から一転寵児へ 「災害に強いクリーン分散エネ」 経産省―エネ計画改定で位置付け向上
「災害に強いクリーンな分散型エネルギー」として、いま液化石油ガス(LPガス)が注目されている。1970年代2度の石油危機後、経済産業省のエネルギー政策はLPガスを石油系燃料として「日陰者」扱いしてきたが、地球温暖化問題の顕在化やシェールガス革命、さらに東日本大震災を受け、その存在がにわかに脚光を浴び始め、時代の「寵児」にもなりそうな気配だ。経産省は年末に予定されるエネルギー基本計画の改定で、LPガスの位置付けを大幅に向上させる方針だ。
★大震災で貢献
「全国の半数の家庭約2500万世帯で使われているのに、(これまで経産相の諮問機関・総合エネルギー調査会の場でほとんど議論されてこなかった)LPガスが今回、これだけのイシューで取り上げられたことを大きく評価した」エネルギー基本計画見直しのため、9月17日に開かれた同調査会・第4回基本政策分科会(分科会長・三村明夫新日鉄住金相談役)。この日のテーマは「国際エネルギー需給構造の変化を踏まえた中長期的な資源確保戦略」、「安定供給確保のための強靭な石油・LPガスサプライチェーンの構築」についてだったが、事務局の資源エネルギー庁が「災害に強いLPガス」を強調するとともに、米国発の「シェールガス革命」によりLPガスのこれまで弱点だった(1)調達先の中東依存度の高さ(2)都市ガスに比べて相対的な価格の高さ――の是正が期待されるとの資料を提示。先の発言は、これを委員の中上英俊住環境計画研究所会長が驚きとともに評価したものだ。「災害に強いLPガス」として、エネ庁は「東日本大震災時には、LPガスの十分な『軒下在庫』の存在が被災直後からの暖房・炊き出し等を可能とし、自衛隊等の救援が到着するまでの初動時を含め、被災者の生活維持に貢献した」と説明。具体的には、岩手県山田町の事例として「発災から3日目の自衛隊の到着まで、地域婦人会が中心となって地区防災センターはLPガスの調理設備を用いて懸命の炊き出しを実施。なおLPガス事業者は、地区内の一般家庭に対する点検・供給を12日目に再開(それ以前から使用再開中)。電気の19日目、水道の36日目と比較しても迅速であった」と、全国地域婦人団体連絡協議会調べの資料を提示した。「軒下在庫」とは、通常、各家庭にはLPガスボンベが2本設置されていることで、供給途絶時も軒下在庫として平均1カ月以上使用可能となっている。さらに経産省は「東日本大震災の経験を踏まえて、これまで輸入途絶を放出要件としていた石油備蓄法を改正し、災害時においても国家備蓄LPガスの放出をできるようにしたほか、予算措置を講じて地域における災害時避難所となる学校・公民館や病院・特別養護老人ホームなどへLPガスバルク・発電機などを導入したり、災害時でも中核充填所単独で出荷できるよう、LPガス自家発電設備の導入を促進したりしている」と、災害対応をさらに強化していると説明。首都直下地震、南海トラフ巨大地震によるリスク対応にLPガスは重要な使命を担っていることを強調した。
★天然ガスと大差なし
経産省は、LPガスの環境面でのクリーンさも強調する。「地球温暖化対策では天然ガスの貢献度ばかりが強調されるが、カロリー当たりのCO2排出量は日本LPガス協会調べでは、石油1に対して天然ガスは0・72、LPガスは0・86にとどまり、石炭の1・32などに比べ化石燃料の中でクリーン・エネルギーの位置付けを得ている」(小島暢夫エネ庁液化石油ガス企画官)一方、LPガス需要は直近2年間では微増にとどまっているが、このうち家庭・業務用需要はマイナス2・7〜同4・1 %の減少が続く。これは人口の都市部への流出に伴うLPガス世帯数の減少やオール電化住宅の増加、都市ガス供給区域の拡張といったエネルギー間競争の影響によるものだ。だが、東日本大震災や福島第1原発事故後のエネルギー環境の変化を受けて、日本LPガス協会は昨年3月に見直した「LPガス産業2030年中期展望」で、30年の総需要量を2千〜2300万トンとする高い目標を掲げ、家庭用燃料電池「エネファーム」の普及目標を150万台、GHP(ガスエンジン駆動ヒートポンプ)による冷房能力目標を原発1・8基分に相当する180万キロワットに拡大するなど、業界挙げて積極的な需要開拓活動を展開している。同協会によると、こうした取り組みによりCO2削減量のアップが100〜200万トン見込めるという。
★シェールガス革命
ただ、LPガスには難題が2つある。「積年の課題は、都市ガスに比べた料金の高さ」(中上英俊氏)。そして、中東依存とりわけホルムズ海峡依存度が原油と同様に80%の高さにあり、安定供給が懸念されること。これに対し、同日の会合でエネ庁は「LPガスの高さはご指摘の通りだが、シェールガス由来の(安価な)LPガスが、いよいよ米国から入ってきた」(上田隆之長官)と、シェールガス革命による価格低下とホルムズ海峡依存度の低減に期待を寄せた。日協の山崎達彦会長(アストモスエネルギー社長)も本紙の取材に対し「世界のLPガス供給構造は、天然ガス開発の活発化に伴い、主体が従来の石油随伴から天然ガス随伴に大きく移行している上、米国などのシェールガス開発の成功に伴い、随伴LPガスも増産されている。元売り各社も調達先を中東以外に分散する方向にかじを切った」と、調達リスクの低減化と輸入価格の安定化に自信を示す。経産省も年末に予定するエネルギー基本計画の改定で、LPガスを「災害に強いクリーンな分散型エネルギー」として、その位置付けを高める方針だ。
(2013/10/02)
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